獣狩りの二人
どこまでも白い平原を、2人の狩人が黙々と進んでいく。
風景に溶け込もうというのか、彼らは白っぽい装備をしている。
しかし、2人はそれでも安心できなかった。
彼らがこれから挑もうとしている獣は、言い伝えにしか語られていないのだ。
2人は確かに腕利きの狩人だが、得体の知れない獣を相手にするのはもちろん不安であった。
2人は注意深く辺りを見ながら進んでいく。
リーダー格のほうが言った。
「気をつけろ、やつはどこから来るか分からない」
「ああ」
もう1人のほうがかすれた声で答えた。
ただ風が吹き荒れる音しか聞こえない平原を歩く2人の間には緊張がただよう。
その獣について残されているただ1つの言い伝えは、
『とてつもなく強く、世界を終末に追い込むほどの力を持つ。
それが通った後には、我々の知る世界は残っていない』
というものだった。
今回の狩りはこの世界を救うためであったが、彼ら2人の他に名乗りを上げたものはいなかった。
2人は不意に立ち止まり、武器に手をかけた。
前方から何かが駆けてくる。
それも恐ろしいほどの速さで。
百戦錬磨の2人の狩人は、その獣を前に金縛りにあったようになっていた。
獣は一声吼えると『世界』に躍りかかった。
2本の曲がった牙を持つその獣は、まさにこんな姿をしていた。
<終>