リンク |
・年齢: | 12歳前後 |
・立ち位置: | すでに「主人公」としての実力を身につけた少年。ただ負けず嫌いであったり友達を大切にしたり、そういった性格は元からのものであり、自分としては昔と変わらない自分であるつもりなのに周りから「勇者」と呼ばれることに戸惑っていた。スマッシュブラザーズという、皆が何かしら規格外の強さをもっている集団に飛び込み、共に戦ううちに勇者という称号を受け入れられるようになっていく。とにかく簡単に諦めないことを信条とし、どんな苦境も逆境も知恵と勇気があれば跳ね返せると思っている。序盤は言わずもがな、大人達との衝突を経て終盤まで、ファイター達全員を引っ張っていく原動力の一つとなった。 |
・選んだ理由: | けっこうお気に入りのファイターだったのに、『亜空の使者』にて出番がなかったトゥーンリンク。それがちょっと可哀想だったので、彼が主人公のシリアスな創作を書いてみたくなったのです。本編を書いていてアイディアに詰まった時は結構、こういう状況だったら彼は解決のためにどう動き出すかを考え、それをとっかかりにして書き始めていました。彼には何度助けられたか分かりません。 |
・思い入れのあるシーン:Track 48『Alive』 エインシャントに最後の切り札で真っ向から斬り掛かる |
| リュカがすでに工場を壊滅させるほどの切り札を発動させていたので、リンクにもどこかで切り札による見せ場を作ってあげたいと思いながら話を書いていました。やがて「エインシャントが最後になりふり構わず凄まじい暴走を見せ、そこにリンクがトライフォースラッシュでとどめを刺す」という構図が思いつき、それを温めながらようやく件のシーンに入った途端、気づけばリンクが剣を抜いて駆け出していました。それまでも元気印のこの少年が動いてくれて話が進んだ場面はあったのですが、48話のこの辺りはとりわけスリルを味わいましたね……ぼやぼやしてると書き損ねるんじゃないかと。もちろん、主人公なのでこれ以外にもたくさんの思い入れがあるのですが、長くなるので最も印象に残っていた一押しを一つ。 |
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リュカ |
・年齢: | 12歳前後 |
・立ち位置: | この旅によって一番成長した人。傍から見ると引っ込み思案だが、芯は真っ直ぐで強い。原作では立派に主人公しているけれど、ここでは加入した時期が冒険の前ということもあって「自分が、自分自身の人生の主人公である、と自信を持って言えない」心理状態を引きずっている。それによるトラブルは、まだ気を許しきっていない序盤ではなくそれ以降、ある程度親しくなった頃に現れる。終盤ではトラウマを乗り越え、新型兵と一対一で勝てるほどに強くなっていた。彼の得た体験も経験もタブーの過去と共に消え去ってしまったが、もしかしたら何かしらの名残は残しているのかもしれない。なお、唯一の肉親を「お父さん」ではなく「父さん」と呼ぶようになっているあたりに、少なからぬ家族との隔たりを感じさせる。 |
・選んだ理由: | 「亜空の使者」ではポケモントレーナーと一緒に旅をしていたリュカ。MOTHERと、それに影響を受けたというポケモンがタッグを組んだのは胸が熱くなりましたが、個人的に二人の頭身差が気になって……。上のトゥーンリンクのこともあり、彼と組ませても良かったんじゃないの? とも思っていました。また、この話でリンクと対となるなら彼だろう、と。(同じ3頭身・金髪だし!) |
・思い入れのあるシーン:Track 42『What's it for』 今まで逃げていた自分の過去と向き合い、涙を流す |
| ある人が受けた心のダメージを単純に比較することは難しいかもしれません。でも、リュカが旅立つ前に経験した喪失は彼の性格にただならぬ影を落としているはずです。何と言っても、まだ家族に甘えたい年で母と片割れの兄を喪い、安心できる居場所を失ってしまったのですから。この年でそんな経験をした少年が3年の月日を経てどんな子供に育っているのかと……、リュカを書く時は常にそれを想像する難しさが伴っていました。冒険の過程で周りのファイター達に必要以上の依存を示すようになってしまったり、時に過剰とも思える反応を見せたり、その一方でほとんど自己主張をしなかったり。類似した経験を持つサムスにその苦悩を指し示され、自ら受け止める展開は早いうちに決まっていましたが、いざ書く段になるとこれまた……どうすれば読む人も一緒に「ああ、これで良かったんだ」と思わせる文章になるのかと、頭をひねりまくっていました。 |
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※2人の主人公について: |
対照的な二人が出会い、時にぶつかり、時にすれ違いもありながら成長していく。最終的に力を合わせ、心を一つにして奇跡を起こす。勇気と希望。「ヒーローも完璧じゃない。普通の人のように苦悩し感情を持つ、同じ『人間』である」「偶像ではなく、そこに『居る』ようにキャラクターを書く」――それが今回の話で表現したかったところでもあります。また、主人公を一人に定めなかったことで、平等に出番と見せ場を与えなきゃと頭を振り絞った部分もありつつ、様々な視点から物語を語ることができて、話は紡ぎやすくなったのかもしれません。なによりも、この物語の原初となったシーンが「(トゥーン)リンクが手を差し出し、リュカが自分の手を重ねる場面。それが時と場所を、意味を変えて再現される」「消えてしまった物語。受け継がれていく繋がり」といった、もやっとした場面だったのです。誰を主人公に据えるかは、二人とも同時に決まりました。 |
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マリオ |
・年齢: | 20代 |
・立ち位置: | 中盤以降、生き残り達の精神(というより魂・ソウル)的な支柱となる。性格や物事に対するスタンスはリンクに似ているようでいて、いざというときはみんなをまとめる言葉をさらっと言える風格も。だいたい全て分かった上で、あえて三枚目を背負って立つ人。自分自身はまとめ役に向いていないと思っているのだが、周りからそれを期待されてしまうタイプ。だが完璧人間ではなく、どこか子供っぽいところもあるし、その場の思いつきで行動するから周りにちょっとしたとばっちりが行ってしまうこともある。働くことよりめいっぱい遊ぶことが好きで、なおかつ利他的で気負うところのない性格。青空のようにからっと晴れた、広い心の持ち主。エインシャント(タブー)に対しても「君」と呼び掛けるほど。 |
・選んだ理由: | というより、彼を出さずにはいられませんでした。マリオのいない長編があるだろうか?!(あっても良いと思いますが) ゲーム内でも動かしやすい中堅キャラですし、他の作品も、もちろん全部ではありませんが遊んだことがあります。彼なら安心して出せるだろうとの計算の元、登場人物として選びましたが、その一方で彼がいるとそれだけで安心感が出てきてしまうため、さらわれて駒にされてしまう損な役回りになってしまいました。兄がいないという非常時に接したルイージの行動や、力とは異なる強さを体現したピーチの様子を描きたくなり、また彼がさらわれるとかなりの絶望感が立ちこめるのではないかと思いまして。でもなんかすごく申し訳なかったので、目を覚ました以降は思う存分活躍してもらいました。 |
・思い入れのあるシーン:Track 23『Lover, Come back to Me』 デュオンに向けて啖呵を切る |
| 彼も色々とありますが、まず上げるとすればこれかも。全力で助けてくれた姫と弟を傍らに、少しも気負うところ無く胸を張って立つ。あまりあれこれくよくよと悩む性格ではなく、それまで自分が操られていたからと遠慮することもせず、相手が間違っていると思えばそれをはっきりと言う。それまで彼らしい彼を書くことができなかった反動として、思いっきり喋らせています。およそ4年近くも書いていると徐々にキャラクターの性格が変わるもので、マリオも実はその一人だったりします。このシーンも初版ではもう少しデュオンにけんかを売るような勢いで、挑戦的に振る舞っていたのですが、書いていくうちに普段の口調にも、一人称「俺」(公式では「僕」らしいと知ったのはだいぶ書いてからのことでした……)でありつつもミスターらしい(大人らしい)余裕が現れてきました。「悪を憎んで人を憎まず」。 |
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ルイージ |
・年齢: | 20代 |
・立ち位置: | 縁の下の力持ち。兄が留守の間は、彼の代わりにまとめ役を背負っていた。大人(主にサムス)と子供たちの仲裁であったり。兄よりも落ち着いて考えている分、気がつくことも多いのだろうか。どっちかと言えば勇みがちなみんなを抑える数少ない側の一人。他のみんなの切り札発動条件が「諦めない・負けない」という感情であるのに対し、彼だけ絶望だったのは……切り札の性質上、"諦めないぞ"からの"ネガティブゾーン"はおかしいかな、と思ったから。専門知識の持ち合わせは少ないかもしれないけど、持ち前の包容力と穏やかさで序盤のメンバーをまとめた。兄よりも性格としては落ち着いているが、大人というには(兄とは違う側面で)至らない部分もある。 |
・選んだ理由: | 地味に好きなんですよルイージ。彼1人で頑張る状況を書いてみたかったのです。何となくただ単に怖がりだけなイメージがありがちですが、格好いいところがあるんだと。いつもいかつい顔のクリボー踏んづけてるのに、ワドルディに対して尻込みしてるのはな……いや、あれは可愛すぎて敵だというように思えてないのかも。彼を書く際には、優秀すぎる兄弟を持った人がどんな気持ちでいつも考えているのか、といった辺りに注意を払っていました。 |
・思い入れのあるシーン:Track 20『Conflict』 サムスを説得し、船の修繕材料を取りに行く |
| よく気がつく方ではあるけど、それをどう指摘すれば良いか考えあぐね、そうしているうちにタイミングを逃してしまいがち……彼はそんな性格であるように思います。ところがこの辺りではまだ兄が見つかっておらず、自分の他に動いてくれそうな人と言えばピーチ姫くらい。でも彼女の手を煩わせるわけにもいかない。内心では緊張しながらも、彼は新しくやってきた仲間と旧知のファイターとを橋渡しする重要な役目を果たしていきます。兄の背を追いかけるのではなく、自分なりに答えを見つけて進んでいく。もちろん、念願の再会を果たした兄と息の合った共闘を見せ、煤だらけになって笑い合う32話のシーンも個人的にお気に入りです。 |
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ピーチ |
・年齢: | 20代(マリオ達よりちょっと上) |
・立ち位置: | 腕っ節だけが強さじゃない! どんなに辛いことも歌いながら乗り越えそうな、そんな人。マリオとは、もはや恋愛関係を超えた信頼関係になっているような節があり、打ち明け話も気兼ねなくできる仲。どんな危機的状況にいても涼しげな顔をしており、彼女の見せる余裕は王族特有の威厳と説得力をもってメンバーの気持ちを落ち着かせていただろう。ルイージとはまた違うアプローチから、ファイター達の離散を防ごうとしていた一人。武力による解決よりも言葉による和解が信条であり、エインシャント(タブー)とも語り合いたいと思っていた。が、その機会は作れず……。 |
・選んだ理由: | この話を単純な「善・悪」の二分論で終わらせたくなかったのです。敵も敵なりの理由を持ってるはずだと言ってくれそうな人として、ピーチ姫を出場させました。おそらく彼女なしではこの話は最初から最後まで「力と力のぶつかり合い」で終わっていたかもしれません。混ざっても良いところ頭脳戦でしょう。彼女の振る舞いは殺伐とした灰色の物語に彩りと和やかさを与えてくれたんじゃないかと思います。優しさや心の広さも、時に腕力に勝る強さとなる。ある意味、「思うだけで世界が変わるわけがない」と言ったタブーとは対極かもしれません。 |
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 ガレオムを説得しようとする |
| 彼女自身は時間を稼ぐためとも思っておらず、本気でガレオムをこちら側に加わらせようと考えていたはず。結局それは叶いませんでしたが、敵であるはずのガレオムにも迷わず思いやりを向ける、姫様の器の大きさが見せられたんじゃないかと……思います。戦うシーンよりもこういった台詞のぶつけ合いの方が書きにくいのはいつものことで、この場合はガレオムに通じないという結末が待っているだけに、いかに「上手く行きそう」な雰囲気を出すかが難しかったです。展開上エインシャント(タブー)のところには間に合いませんでしたが、もし辿り着いてたらどんな会話をしていたのか……うむ、おそらく平行線になりそう。 |
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サムス |
・年齢: | 20代(ピーチと同じくらいか、やや上) |
・立ち位置: | 生存者の司令塔。強さと賢さ、共に兼ね備えた最強の戦士。宇宙空間にも飛び出せるし、モジュール機能を掛ければ酸や溶岩の海にも飛び込める。でも、そんな彼女にも苦手なことはある。普段、ほとんど誰の手も借りずに宇宙を渡り歩き、軍での集団行動(しかも指示される側)も昔の話となっていた彼女にとってこのように強烈な個性を持つ面子を指揮するのは異例のことだった。何しろ彼女自身が他人の指図を受けることを嫌う性格であるし、孤高の戦士が集団のマネージメントなど得手とするはずがない。初めの方こそすれ違いやぶつかり合いも続き、危うく解散の危機まで行きかけるも他ならぬ仲間に助けられることで、この集団の中で自分が取るべき姿勢を見つけていく。かといって彼女に人望がなかった訳ではなく、リーダーを返上した後も作戦会議ではかなりの頻度で頼られている。 |
・選んだ理由: | この人もけっこう最初の方から出番を決めていた一人です。世界観とキャラクターが好きなんですよねぇ……。マスターハンドからの情報を受け取っていそうな人物として相応しかったのもありますが、1~2話を書いた時点で「これずっと今後も歩き通しだったらなんかなぁ…」と思っていたのもあって、彼女には一旦向こうに渡ってもらい、マザーシップごと来てもらいました。まぁ敵の輸送機を頂戴しちゃうワイルドな展開でも面白かったかもなぁ。しかしそれにしても、リュカがトラウマを乗り越えるのを手伝ったり、メタナイトが早まった行動に出るのを止めたりと、この物語ではずいぶん熱く語ってもらっています。ご苦労様でした。 |
・思い入れのあるシーン:Track 47『Desire』 人形兵を一手に引き受けてリュカを先へと行かせる |
| 本当は仲間思いなのに、それを言葉や態度として示さない鎧の戦士。物語の中でもスーツは一度も脱がず、序盤は冷たい雰囲気まで纏わせていました。いつも張り詰めているのは不測の事態に備えるため、メンバーとなれ合わないのは情報収集に時間を割くため。自分が所属する特殊な集団を襲ったいつにない非常事態に、必要以上に思い詰めてしまったのです。そんな優しさを持ちながら、それを気づかれることを嫌うサムス。全身を鎧で固め、武器と体術で戦い守ることでしか語れない彼女は、コンピュータのサーバールームに向かうリュカに対しても「自分に構うな、行け!」と叱咤します。でも、心を感じ取れるリュカには本当の思いが伝わっていたことでしょう。また、ピーチ姫とのやりとりも結構書いていて楽しかったシーンの一つです。女性として、弱い存在として見られたくないサムスですが、相応の実力を持つ同性にはつい気を許しちゃうんじゃないかなと。 |
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カービィ |
・年齢: | 永遠の天真爛漫 |
・立ち位置: | 天衣無縫のムードメーカー。何だかんだ言って運が強く、来た時点で眠っていたのにも関わらず木の枝に引っ掛かっていたために人形の目から逃れられたり、お腹が空いて道ばたで倒れてしまったのに、一番に通りがかったのがリンク達であったり。その悪運は、時にファイター達をも助けることがあった。もちろん運ばかりではなく、見た目のわりに実力はかなりのもの。追い詰められるほど凄まじい力を発揮する。また、滅多なことでは恐怖を抱かない。仕草の端々に、並み居るボスから「ピンクの悪魔」と呼ばれ畏怖される訳が分かるような言動をちらりと見せている。ただ可愛いだけでなく、時折はっとするようなことを言うことがある。 |
・選んだ理由: | 多くのファイターの中でも比較的自分が作品を把握していてネタも出せるような、そういった安全パイを入れておきたかったのです。『スマブラ』ではフィギュアくらいにしか出てこないコピー能力が何だか勿体なかったので、人形兵その他をコピーもとに、この話では思いつく限りの能力を使ってもらいました。スープレックスでビッグプリムを投げ飛ばしたり、ライトで目くらましをする辺りなど、書いていて面白かったなぁ。彼もまた書いているうちに微妙に立ち居振る舞いが変わってきた一人で、特にトリデラ・ロボプラを経た後は可愛いだけじゃない一面が表れたような気がします。タブーに対しても友達口調で話しかけちゃうの彼くらいじゃなかろうか。 |
・思い入れのあるシーン:Track 11『Behind the Mask』 "ともだち"を取り戻す |
| 最初のうちに書くことを心に決めていたシーンであり、この話を書く上での原動力になった一幕でもあります。ただ上述のように、自分の中でのキャラクター像が徐々に変わっていったこともあり、今同じシーンを書かされたらまたちょっと違う描写になるのではないかなぁと思います。カービィはこの状況に戸惑いはするでしょうけど、友達に対してためらうことなく(助けようという意思を持ちつつも)全力で剣を振り下ろしそうな気がします。また、話中では知り合いらしい人がいるのをこれ幸いと思ったのかカービィの「お守り」が結構な割合でメタナイトに任せられており、自由気ままにはしゃぎ回るカービィに振り回されてるこの構図を書くのが……ハイ、正直に言うと無茶苦茶楽しかったです(笑) |
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メタナイト |
・年齢: | 実年齢より老けて見られるタイプ(実はカービィと同じくらい) |
・立ち位置: | 冷静沈着なトラブルメーカ……もとい、一歩引いた観察者。メンバー内ではおおよそ中立的な立場を取るが、自分が譲れないと思ったことには論理に裏付けられた言葉をもって意見する一人。そして、たまに吹っ切れるととんでもないことをやらかす。みんなと混じってわいわいやってないのは、ポップスターでは曲がりなりにもリーダーやってるから、そのプライドもあるのかもしれない。でも序盤、タブーの支配が解けた後は何だかんだ言いつつリンク達と行動を共にした。おおよそ「不惑」並みかというほどの落ち着き払った態度がデフォルト。今回の物語では、まれに素を見せてくれることもあった。誰かの下に従うといった状況を嫌う。だが、自分の納得できる理由を語られた場合は律儀に従い、全力を尽くす。 |
・選んだ理由: | 贔屓だと言われればそれまでかもしれません。カービィと同じく、ある程度ゲームをプレイして知っているからという理由もありますが。直接的なきっかけとしては、「スマブラ図書館」でハラハラドキドキしながら読み進めていた二次小説にて、彼がすでに故人となっていたという衝撃から。他の人が書くキャラクターも楽しんで読むタチだった私にとって、長編で活躍する姿をもっと見てみたかったのも事実。見たいなら作ってしまえば良いじゃないというわけで、今回の話に登場してもらっちゃったのです。でも、油断すると出番が多くなりそうな気がしてて、ちょいちょい削ったりしてました。 |
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 サムスを助けるために飛び立つ |
| 20話『Conflict』のサムスの行動が無ければ、メタナイトはたぶんあのまま帰ってこなかったんじゃないかと思っています(カービィに見つかって思い切りハンマーというのもありだったかもしれませんが)。ともあれ、彼にとって論理で負かされるのはほとんど経験の無いことであり、それをやってのけたサムスには内心で一目置いていたわけです。窮地に陥った彼女を助けに行くあのシーンは、実は勝算も打算もなく、自分までも巻き込まれるかもしれないことなどそっちのけで飛び出していった状況であり、いつもの彼らしくない(逆に言えば本心をさらけ出した)行動を見せた場面でもありました。全力で守ることでしか仲間に思いを伝えられないという点ではこの2人、似ているかもしれません。 |
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ピット |
・年齢: | 外見上はローティーン |
・立ち位置: | まさに天使。序盤はFC版や『亜空の使者』から個人的に派生させたイメージで書いてしまっていたので、敵にも慈悲を掛け、あくまで戦闘は最小限に抑える。最初は仲間に対しても敬語がデフォルトという設定で書いていた。リンクに言われて以降は、外見上の同年代かそれ以下のファイターに対しては砕けた口調になっていった。最終的に明るくはつらつと礼儀正しく、かといって優等生と言うには元気がありすぎる、そんな感じの性格に落ち着いた。時々張り切りが空回りしちゃうタイプ。天使なので年は取らないけれど、おおよそ子供組の最年長(に収まっている)というイメージ。目の前の困っている人を放っておけない性格で、パルテナ様から仰せつかった使命はいつも心の中にありながらもルイージ達についていったり、リンクの代わりにリュカを見守ったり、最終的にはタブーの攻撃から2人を庇い、結局向こう側に辿り着くことはできなくなってしまった。 |
・選んだ理由: | 途中までは3人目の主人公として考えていたらしく、最終戦の場に並び立つ案もありました。みんなに出番と見せ場を用意し、ある意味全員が主人公と言っても良いような話になりましたが、書き進めるうちに、やはり最後の最後はリンクとリュカだけの方が良いだろうなと感じるように。そのため、彼も生身のタブーとは結局会わず仕舞いになってしまいました。なお、彼の住むエンジェランドがタブーに蝕まれ、今にも消えそうになっていたのは他でもない、FCでの一作が出た以降、久しく続編のないまま忘れられようとしていた『パルテナの鏡』をイメージしてます。それがスマブラへの招待状をきっかけにして息を吹き返し、華々しく復活したというわけで……。 |
・思い入れのあるシーン:Track 46『Impatience』 新型兵に組み付かれ、それでもルイージを助けようとする |
| この辺りの展開では次々とファイターが倒れていきます。どのキャラクターも大事に思っているがゆえに、彼らが倒れるシーンを書くのはなんとも切なかったですね……。自分1人でも生き残って先に行けば皆のためになると分かっていながらも、かつて探すべき敵も見失いさまよっていた自分を助けてくれた人を見捨てることができないピット。この他にもフィギュア化したカービィを守り抜いたり、リュカがリンクに謝ろうと決心する手伝いをしてあげたりと、彼はまたリンクとは違った「主人公」としての風格の持ち主かもしれません。32話『Stratus』でのメタナイトとの掛け合いは、書き始めてその面白さに気づいたシーンでもあります。こういうのはクロスオーバーの醍醐味ですね。 |
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フォックス |
・年齢: | 20代後半 |
・立ち位置: | 落ち着きあるサブリーダー的存在。熱血なマリオ&リンクと、冷静なサムスの橋渡しをしている。彼もまた「スターフォックス」のリーダーであるが、チーム内であまり大きな上下関係が無いからなのか、それとも本来の性格か、ここでは調整係のような立ち位置を進んで引き受けている。しかし彼自身のハートは紛れもない炎を秘めており、ふとした瞬間にそれを覗かせる。今回の事件で"クルー"となった皆のことは大切に思っており、加入直後のあたり、まだメンバーの間にわだかまっていたしこりにもいち早く気づいた。白兵戦もできないわけではないが、本業はパイロット。軍人や遊撃隊として様々な経験を積んでおり、知識に基づいた作戦をその場で立て、仲間と共に遂行するだけの柔軟さも持っている。 |
・選んだ理由: | 実は、11人の中で一番最後に出番が決まったファイターでした。といっても物足りないから増やしたってわけじゃありません。序盤から話数を重ねるにつれて、個性にあふれるメンバーがあっちこっち行きそうなのを、感情面だけでなく論理立てて説得し、まとめてくれるような存在が必要だなと感じるようになったのです。そして、なおかつサムスに「一人で全てを背負い込むな」と自分の経験も踏まえて言ってくれそうな人物。というわけで、初代からのファイターでもある彼を物語に組み込みました。結果的にその後の展開に馴染んでくれたので一安心……。 |
・思い入れのあるシーン:Track 37『Impulsive』 ランドマスターに乗り込み、デュオンを押さえつける |
| 何かと勢いのままに突っ走りがちな面々の中にいて押さえ役を務めていたフォックスが、珍しく熱く滾る感情をさらけ出すシーンです。個人的に何となく彼は、雇われ遊撃隊という立場を自ら選んでいても士官学校時代の生真面目さが抜けきっておらず、自分のせいとは言い切れないようなミスまで背負い込みそうなイメージがあります。でも反省でつぶれてしまうのではなく、反省を通してさらに強くなっていきそうな感じ。このシーンでも、いくら怒りを抱えていても情報を聞き出す前にデュオンを撃っちゃったり、城から脱出するという当初の目的を見失ったりすることはなく、ちゃんと切り札が尽きる前に外に逃れます。第一声がなぜリンクを戦わせたのか、だった辺りなど、彼が皆から一目置かれている由縁かもしれません。 |
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ロボット |
・年齢: | ロボットシリーズのプロトタイプ |
・立ち位置: | 最後の参戦者。最終盤でやっと仲間になったので彼自身としての出番は少なくなってしまった。鋼鉄のボディを持ちながらどこか愛嬌のある仕草を見せ、心があるとしか思えない言動を示す。文字通信ができるデバイスを持ったサムスとしか話さずに終わってしまったが、彼の協力無しではタブーのもとにたどり着けなかっただろう。余裕があれば他のメンバーとの絡みをもうちょっと描き足したかったが、展開上難しいか……。 |
・選んだ理由: | まず初めにあったのが、『ファミリーコンピュータロボット』があれきりで終わってしまったという事実と、それをタブーによる物語世界の崩壊にこじつけたいという構想(妄想)。そこから、タブーに操られたエインシャント(表ボス)というアイディアに繋がり、タブーの私怨をぎりぎりまでカモフラージュする「人間 対 人工知能」の構図が出来上がっていきました。また、他の任天堂作品に彼が登場することは、他世界探検の結果であるとのこじつけも自然と浮かび上がってきました。 |
・思い入れのあるシーン:Track 51『Edge』 諦めてはいけない、とサムスに伝える |
| やっても無駄だ、意味がない、叶うわけがない。生きていればそんな言葉にぶち当たることもあるでしょう。あるいは自分で思ってしまうこともあるでしょう。でも、私は敢えて「そうじゃないんだ」と言いたい。頑張れとは言いませんが、諦めろだの無駄だのと言う人にはなりたくないです。このシーンはロボットがタブーに操られていた頃のエインシャントとは決定的に違うことを示した場面でもあります。数字や計算は完璧ではなく、複雑な現実を何とか理解できる形に落とし込もうとした近似系でしかない。計算上の不可能は必ずしも本当の不可能ではない、と。 |
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ガレオム |
・立ち位置: | 敵側の数少ない、言葉をかわせる存在。最初の方こそ「どこか憎めない怪力馬鹿」だったのだが、自分より劣ると思っていたファイターによって崖から墜落しプライドを傷つけられ、復讐の感情に取り憑かれてしまう。生身の姿では亜空間の外に出られないタブーに代わって、彼の「力」を見せつける存在として作られた。タブーに対して誓った忠誠は並みならぬものであり、デュオンも含めた兵士の中でタブーが一番気に掛けているのは自分だと思っている。そこでタブーは、彼ならば何を命じても喜んで従うだろうとの目論みのもと、ガレオムに自爆を命じる。彼の頭に亜空間爆弾を付けてファイターにぶつければ、爆弾に手出しされることもなく確実に仕留められるという、非情な計算の元に。 |
・選んだ理由: | 敵側でもオリジナルキャラを出す予定は無かったので、ボスがタブーならと「亜空の使者」からこの戦車を持ってきました。原作が「X」のみなのを良いことに、結構設定自体は好き勝手しちゃってます。腹心が2体だと、片方が脳筋で片方が頭脳派になっちゃうのはお約束過ぎるかもしれませんが、そういう組み合わせが好きなんです。 |
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 壮絶な最期 |
| これを思い入れというと誤解を招きそうですが……。実はガレオム、書き始めた頃は6話『Whirlwind』でサムスに完全にとどめを刺され、お役御免となってしまう予定だったのです。それが復活したのはこのパロ――オマージュした場面を描きたくなったから。思っていたより物語に長引く雰囲気が出てきて、デュオンとタブーだけだと寂しい状況になってしまったのもあり。亜空の使者では捕まるのはリュカとポケモントレーナーでしたが、ここでは(疲労の蓄積した)サムスに。敵側でもないとここまで復讐に狂ったキャラクターが書けず、その分彼らはずいぶん損な役回りが当たってしまったような気がします。ところでマシュマー・セロって言って分かる方いますかね……? |
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デュオン |
・立ち位置: | 板挟みの苦労人。ガレオムとは異なり、効率的に軍隊を指揮しながらも、明らかに性能の劣る兵士達へ同情を向けるだけの思慮がある。同じ創造主に作られた兄弟と思っているのだ。彼らはタブーの「頭脳」を代理する存在として作られ、そのために彼にしばしば諫言を向け、時に不興を買うこともあった。デュオンからすれば最大限の吟味の末に出された客観的な結論を伝えているだけであり、その行動は忠誠心から出ているものに他ならない。また一方で、彼らがファイターに向ける目はガレオムとも少し異なっていた。タブーと異なり、直接ファイターに接して情報を分析し続けた彼らは言葉では否定しているものの、次々と不可能を可能にしてみせるファイターにいつしか好奇心を覚えるようになっており、タブーが新型兵のテストをするためにリンクを使えと命じた時には珍しく躊躇するような反応を見せた。 |
・選んだ理由: | こちらもボスがタブーに決定したので自動的に。原作ではMr.ゲーム&ウォッチが影蟲によって変化した姿でしたが、ここでは完全にガレオムと同じ被造物として登場しています。ハイ、勝手に設定変えました! 一応言い訳をすると、タブーがラスボスとして現れた原作の"世界"からこちらの話のタブーも何かしらの影響を受けており、そのためにプリムからガレオム・デュオンまでのどこかで見た奴らを創って従えてるということを考えてます。両者とも、機械部品で出来ているように見えますが、もっと根本的には他の人形兵と同じく光の粒から作られているというていです。ガレオムが「亜空の使者」では脳筋っぽい動きをしていたので、必然的にデュオンは頭脳派の腹心として収まってしまいました。主のことを思って行うことごとくの物事がファイターの想定外の行動で覆され、すっかり信頼を失ってしまった不憫な重臣。 |
・思い入れのあるシーン:Track 51『Edge』 メタナイトとの一戦 |
| 終盤に来てファイターに対し連戦連敗を喫し、焦りと同時に知的好奇心を刺激されていたデュオン。彼らはついにその強さの源が感情・心にあると突きとめますが、まさか最後は自分たちが誇りにする「頭脳」において負かされるとは思ってもいなかったことでしょう。この辺りは戦闘と同時に台詞も考えなければならず、どうやって追い詰められたように見せるかに苦心しました。この話における彼らは、ガレオムも含め"ゲキむず"かそれ以上かと思うほどの強さを持っており、切り札なしに(機能停止でなく)戦闘不能に追い込んだのはサムスだけとなっています。ここまでべらぼうに強くせざるを得なかったのは、敵側で話せる腹心が2体しかいないのが原因かも。倒されても機械なので修理すれば復活できますが、ここでのボスはたび重なると躊躇無く廃棄処分にしそうですし。 |
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タブー |
・立ち位置: | 「亜空の使者」事件が起こらなかった世界において出番を失ってしまった"存在"。心を嫌っているわりには予想外のことが起こるたびに動揺し、短絡的で過剰な行動を取ろうとするなど精神的な不安定さを抱えている。ファイター達を含む数多の生命体よりははるかに優れた力をもって生まれたにも関わらず、亜空間から出ることができず、直接自分の手で他の存在に触れることが叶わないまま育ってしまった。そんなアンバランスな性質から、彼は常に高すぎるプライドと、それが報われないことから来る激しい憎しみを心の内に滾らせているのだ。最終局面で彼が消し去った時間の枝はどうやら一本だけではなく、もしかすると何パターンかの試行錯誤を行っていたのかもしれない。上手く行かなくなりそうになるたびに最終手段として時を巻き戻し、最初からやりなおしたのだろうか。 |
・選んだ理由: | 大方は上で説明された通り、「初代からXまでが繋がっており、一度顔を合わせたファイターは互いにそのことを覚えている」という設定で短編を書いていたためにタブーの登場する出番が無くなってしまっており、彼の話も書きたい=シリアスな長編も書きたいと思っていたこと。この話を書き始めるきっかけとなった大きな要因の一つです。マスターハンドを創造、クレイジーハンドを破壊とするのはもはや定石なのかもしれません。だとすれば、タブーは(ゲームにおいて)何に当たるのだろうか……と考えた結果が、本来意図されていないデータの配列をはき出してしまう「バグ」。それを否定と言い換え、役割が「ヌル」になってしまった彼を「この設定での」スマッシュブラザーズにおけるバグ――あり得ない存在としました。「亜空の使者」が無かった世界の、存在しないはずのラスボス。 |
・思い入れのあるシーン:Track 53『Suite Escapism』 全力を掛けた最後の戦い |
| 短編にせよ長編にせよ、うまく表現できているかどうかはともかく一番書きやすいのは日常会話です。ついで風景。では逆に何が難しいかというと3位が戦闘シーン、2位が(人数問わずの)議論、堂々の1位が「真面目な言葉のぶつけ合い」。言葉によるタタカイってやつです。この話は戦いながら言葉もぶつけ合うという場面が前半を占めており、中々自分の中でも完成形が見えてこず、文章や台詞を削ったり増やしたりくっつけたりと、見直すたびに修正が入ってしまいました。ここでのタブーは不完全ながらも「神」と言いうる力を持った存在として考えており、ファイター達ならば倒せるというのも実は理論上の話でしかなく、その前に葬られてしまう可能性は十二分にありました。しかし最終的に彼は、他ならぬ自分の力が原因で倒されることになります。この、強すぎる力が故に自分の身をも滅ぼすという展開、ありがちかもしれませんが個人的にすごく好きだったりします。 |