気まぐれ流れ星二次小説

Open Door! Bonus track …という名のあとがき

読了お疲れ様です!
感想・ご意見等ありましたらどうぞ……どうかよろしくお願いします_(:3」∠)_
そのかわりお礼と言っては何ですが、ささやかな絵を用意してあります。
トップページの更新が続いている限り、このメールフォームも生きているはず!
返信ページは『Open Door!』目次の一番下にあります。追記し次第、トップページの更新履歴でお知らせしますよー!

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はじめに

このページを見ているということは、十中八九あなたは『Open Door!』を最初から最後まで読んでくれたのでしょう。
まずは地上最大級の感謝を込めて、ありがとうございます!!
ボーナストラックとして、上記のお礼絵とあとがきのような裏話をごっそり詰めておきました。
ただ本当の意味で御礼になるのは絵くらいのもので、以下の文章は誰得な内容かもしれません。

この話ができるまで

まず最初に何を持ってくるか。普通はこの長編を書き始めたきっかけを話すのが筋というものでしょう。

スマブラ図書館との出会い

時は遡って2012年春。ようやく実生活のごたごたも落ち着いて、長き春休みを満喫していた頃のこと。
世間の人々からかなり遅れてインターネット環境が整い、生まれたての子鹿のような足取りでネットの海をさまよっていた私は
ある日のこと、とあるサイトと衝撃的な出会いを果たします。
そのサイトの名前こそ『スマブラ図書館』。たしか先に購入した『X』の攻略情報を探していて誤って踏み込んだような記憶がありますが、ともかく!
かねてより本の虫だった私は「小説」と聞いて思わず、「どれどんなものかな」とコンテンツをクリックしてしまったわけです。
それをきっかけに、私はそれまで"二次創作"というジャンルに対して持っていた偏見と先入観と食わず嫌いとをいっぺんに覆されることになりました。
作者さんによって千差万別の表現法、読んでいて思わず時間を忘れるほどのテクニック、
どんな解釈の元でも素敵な登場人物の数々……もはや文庫出版しても良いんじゃないかと思う程のハイレベルな作品が集っていたのです。
私も読んでいるうちに書かずにはいられなくなり、
辛うじて知っているカービィとポケモンを取っ掛かりに、風化覚悟で作品を投下しました。
今から読んでみれば赤面するほどの出来映えでしたが、心中密かに憧れていた書き手さんから感想を頂き、
有頂天となった私はそこから猛烈な勢いで中古ソフトや資料を漁り始めたのです。
それまでは一次創作と言ってもショートショート、長くて短編しか書いたことのなかった私は
最初のうちは、練習の意味合いも込めて短編を書いていたのですが、内心ではずっと「いつか長編を書くぞ」と思っていました。
ここにいる方々の書くような、読んだ人を引き込み、長期休暇を費やしてまで読了せずにはいられなくなるような二次"小説"を……

「亜空の使者」の影響

私がスマブラ二次創作を知った当時は、Wiiの『大乱闘スマッシュブラザーズX』が最新作でした。
そこではシリーズ初のストーリーモードとして「亜空の使者」があり、この公式によるシナリオには、私も大きなカルチャーショックを受けたものです。
マリオとカービィが並び立つならまだしも、サムスとピカチュウの共闘なんて誰が予想しただろうか……
そしてリアル頭身剣士2人と一頭身剣士1人の快進撃なんて、どこの天才が考えたんだろ(以下省略)
もしかしたら「亜空の使者」という素地があってこそ、スマブラ二次創作というジャンルに馴染めたのかもしれません。
ともあれ、その頃スマブラ図書館では多くの方が『X』を題材とし、私もその例にならって『X』までのファイターで短編を書いていました。
ただ自分がもっぱら、ほのぼの時々コミカルな(つまり、ありがちな)集合生活日常モノを好んで書いていたもので、
初代やDXからの面子は互いに顔見知りであるとか、亜空の使者事件がそもそも無いとか、非常に平和的な設定が出来上がっていました。
でも、何とかこの面々でシリアスを書きたい、タブーを登場させてみたい……と心の中では思っており、
苦肉の策として『X』の初参戦ファイターが古参のファイターと初対面で共闘する、今回の諸々の設定が出来上がりました。

こぼれ話

さて、デジタル慣れしていなかった私は『もしもしヨッシーどこいくの?』辺りまでは
ルーズリーフや小さいノートに下書きする習慣がありました。(だんだんと思いついたシーンだけメモ、とかになっていきましたが)
このため、思いついた時期で言えばけっこう最初期である『Open Door!』もアイディアや序盤の話はアナログ媒体として残されています。
あとがきを書くにあたって見てみたら、色々と発見がありました。
(一枚目、「もしかしたら長編かくかもしれんなー…」「あーでもムチャかなぁ」となんか投げやりなメモが)
ここに載せられるシロモノではありませんが、地図に矢印の形式で各キャラクターの動きを表したものもあり、
10話(メモでは9話)『Tempest』までの段階ながら、すでにタブーの本体が天球にあることが書かれてあったり。
我ながら見てて「へぇ」となるものがあったので、それらメモからいくつかまとめてみました。

そのまま採用された設定

  • スマブラに転送されるはずのファイターのいくらかが行方不明になり、しかもその何人かがマスターハンドへの刺客とされてしまった。 巻き込まれ黒幕の住む世界についたファイター達は、陰謀を知り、止めようとする。
  • 主人公:リュカと(トゥーン)リンク。ここではリンクと名乗る。 この2人を軸に話を進めていくが、サブ主人公が中心となる話もある。 サブ予定として書かれていたのが:カービィ、ルイージ、サムス、ピット
  • 黒幕はタブー。世界が存在するためのエネルギーを他の世界から奪いとり、マスターへの復讐を狙っていた。 タブーは不完全な神である。マスターハンドに構わず世界をいじくり、自分の世界(亜空間)を作り始めたため、右手・左手がやっとのことで追い出した。
  • 世界の消滅と共にこの出来事は忘れられる。 「プロローグ」はリンク側から、「プロローグ'」はリュカ側から書く。どちらもリンクがリュカに手を差しのべるシーンが鍵。
  • 対照的な2人は性格の違いから初めのうちは反発するが、しかし一緒に行動せざるを得ない。 戦いを通じて互いへの印象が変わっていき、やがて無二の親友と思えるように。
  • カービィがスマブラについて(変わってるが)教えてくれる。友達を追っていなくなったりする。 ルイージは初めマリオと共にピーチを助けようとしていたが、兄が逆に捕まってしまい、彼を捜している。 サムスは先に「スマブラ」に着くが、宛先不明だったとしてピットへの招待状を渡すよう頼まれる。 ピットはメデューサ事件の後、なぜか荒廃していくエンジェランドを元に戻そうとしてやってきた。
  • 灰色の世界の創造主と名乗る緑衣の人物はエインシャントという(予定) 侵入者としてファイター達にプリムやデュオン、ガレオムなどを差し向けてくる。 計画を知られたくないのと、自分の駒にしようという理由で捕まえようとする。 しかし彼は真の創造主タブーに操られているだけ。
  • 招待状を受け取りファイターになることを了承すると、そこで言葉が互いに通じるようになる。 ピットは手紙をサムスから受け取るまで言葉が通じない。
  • 登場人物が作者を倒せないように、タブーではマスターハンドを直接倒すことはできない。 しかし別の世界の人物であるファイターならマスターハンドを倒せる。もちろんタブーも倒せる。
  • 3話『Ant and Giant』のガレオム戦と10~11話のメタナイト戦についても既にあらすじが出来ていた。 また、マリオも刺客にされてしまうことや、如何様にして元に戻るかも大雑把に決まっていた。
  • ホントの最終戦でタブーが"結界"の外を壊してしまうこと、主人公が世界を創ること。

ボツになった設定

  • タブーはメモの段階ではマスターハンドによって無意識に作られ、「スマブラ」から追放されたとある。 書き進めるうちに、両手のどちらが作ったのかも分からず、外から流れ着いた可能性もあるようになった。
  • ルイージ達がマリオのフィギュアを塔から救出するのはサムスと合流した後。
  • 戦いになれていないリュカは、しばらく自分もファイターであることを伝えられずにいる。
  • カービィがメタナイトの封印を解く際、すでに「その人の記憶に深く刻まれていることを思い出させる」ことが鍵だと知ってやっていた。 ※が、知るきっかけがそれ以前に無いため没に。
  • 天球の結界を穿つ際、サムスが持ち込んだスマッシュボールを使って切り札を発動する案があった。 ゼロレーザーで穴を空けたときにスーツが解除されるが、そこでメンバーはサムスが女性だったと知る、とも。
  • タブーとの戦いはリュカとリンクに加え、ピットも参戦する予定があった。
  • 最初のメモでは、ロボットは元いた世界を失って漂っていたところをタブーに拾われたとある。 ※2枚目のメモでは既に、宇宙と宇宙を繋ぐ通路を進んでいる時に乗っ取られた設定になっていた。
  • プリムはエインシャントから命じられない限りファイターにもフレンドリーに接する、というアイディアもあったみたい。
  • ガレオムはサムスとのファーストコンタクト時で完全に倒されるはずだった。
  • 最終話タイトル案として「Nowhere」「Now here」があった。
  • 天球に飛び込もうとした3人以外はマザーシップに戻り、パルテナの待つエンジェランドかスマブラに退避している予定だった。
  • 世界を創るシーンは右揃えや中央揃え、文字色をこれでもかと駆使する案もあったらしい。読みにくいので没になったか。

決まっていたのは序盤と終盤だけで、中ほどの展開はその都度(その時のノリで)考えていたわけです。
ともあれ私は短編と同時並行で、このように思いつき次第アイディアを書き連ねていき
ある程度たまった段階で1話から書き始めました。長くなりそうだったのでじきにtxt形式でのみデータを保持するようになりましたが、
2013年7月頃に、創作やらmidiやらを保存していたマイUSBに電子すり抜けを起こすアクシデントが発生。
しかしこの連載だけはなぜか1話も抜けが起こらず、当時の私が「これは最後まで書けということだな!」と発憤する結果に。
その後も色々と……本当に色々とありましたが、どうにかこうにか最終話までこぎ着けることができ、今に至ります。

各話タイトルの由来

音楽は、小説には無い強みがあると思います。
言葉では表現できない感情や情景を直接聞き手の脳に伝え、心を揺さぶり、雄弁に色彩豊かに訴えかける……。
何とかしてこの感動を文章で、物語で表せないものかと時折夢想しています。

そんな理由からか、この長編は各話、イメージ元として(ファンメイドを良いことに)多くの曲を含んでいます。
でも全話その意気込みで統一しているわけではなかったり、英語ずらずらなタイトルになっちゃったのが反省点でもありますが……。
タイトルの『Open Door!』、1話と54話の「Prologue」、本編に入る前の「Tuning」からして
私がぞっこん惚れ込んでいるジャズピアニストが手がけられた一曲「OpenDoor-Tuning-Prologue」から拝借しちゃってますし、
各話のナンバリングが「Track」で為されてるのもCD楽曲をイメージしてのことです。(一時期Truckとスペルミスしてました)
もちろんタイトルを借りているだけではなく、普段から好んで聴いている曲の中から曲想としても近いものを選んでいます。
あれでも、これ結局は自分が感じたイメージか……。
序盤を除けば各話書くたびにタイトルを選んでいたため、譲れない一押しであったり、その時々の嗜好であったりが反映されているよーな気がします。
この辺りの話は「○○のキャラ設定は『△△』の●●が元です」のような「何それ知らん……」という反応を貰いそうな話題なので、
読まれる方は貴重な時間を棒に振る覚悟を持ち、お好みでお菓子を片手に読んでください。

表題『Open Door!』

一通り読まれた方ならもう分かっているかもしれません。
そのまんまずばり「扉を開ける」。それがこの長編を貫くテーマです。
それは初対面の相手に対して手を差しのべることであったり、新たな世界を手探りで旅することであったり、閉ざしていた心を開くことであったり、
仲間と腹を割って話し合うことであったり、そして時には、全てを拒絶するような相手とも和解し、理解し合うことであったりします。
毎度話を見に来てくださる方に対し物語本編に入る前のチューニングとして、Tuningの一言を添えています。

各話タイトル

Track 1『Lost』 英語慣用句より。トラック(痕跡)をロストする。迷子、そして失われる運命の物語。
Track 2『Maze』 Herbie Hancock「The Maze」。迷路。依然として掴めない状況。
Track 3『Ant and Giant』 ただの語呂合わせです。主人公側は2人なので正しくはAntsか……。
Track 4『Cross Over』 音楽用語。登場人物の交差(すれ違い)。
Track 5『Wings』 由来なし。新しく登場するファイターが2人とも有翼だったので。
Track 6『Whirlwind』 気象用語。つむじ風、不穏な空気。マッハトルネイドも意識してたり。
track 7『Clair de Lune』 Claude Debussy「Clair de Lune」。月の光。わずかな、でも確かな希望。
Track 8『Ruins』 由来なし。打ち棄てられた、遺跡Ruinsのような街並み。
track 9『Note from the Past』 上原ひろみ「Note from the Past」。そのまま、「過去からの伝言」という意味で。原曲も重めです。
Track 10『Tempest』 Ludwig van Beethoven「Piano Sonata No.17」。通称テンペスト(つむじ風)。
track 11『Behind the Mask』 YMO「Behind the Mask」。"There's nothing in your eyes"。素顔を見たのはやっぱり彼だけなんだろうなぁ。
Track 12『Perspective』 YMO「Perspective」。展望、価値観、視点。5人もいれば違うもの。
track 13『Open Mind』 松永貴志「Open Mind」。自然とリズムに乗ってしまう、実に良い感じのジャズです。
Track 14『Act』 由来なし。演劇の「幕」、舞台に立つという意味であり、「見せかける」という意味でもある。
track 15『Reverse』 上原ひろみ「Reverse」。逆転、そしてまた逆転。
Track 16『Get up, Stand up』 Bob Marley「Get up, Stand up」。苦境から立ち上がる。
track 17『Time out』 上原ひろみ「Time out」。助けられた者と、間に合わなかった者と。
Track 18『Now's the Time』 Charlie Parker「Now's the Time」。本編でも女神さまが言っています。
track 19『Dissonance』 音楽用語。そのものずばり、不協和音。不平を抱え込んだり、一人で思い詰めたり。
Track 20『Conflict』 由来なし。衝突という意味。語の響きが気に入ったので使用した経緯が。
track 21『'Round Midnight』 Thelonious Monk「'Round Midnight」。過去と未来の狭間、真夜中。一種の切り替え地点。
Track 22『Endeavor』 上原ひろみ「Endeavor」。真剣に努力すること。ファイター1人1人の健闘、苦闘。
track 23『Lover, Come back to Me』 Sigmund Romberg「Lover, Come back to Me」。"恋人よ 我に返れ"。
Track 24『Calm before the Storm』 ことわざ。「嵐の前の静けさ」は、英語でも言いやすかった。
track 25『Solid State Survivor』 YMO「Solid State Survivor」。ソリッドと付きますが、出てきたのはスネークではありませんでした。
Track 26『Double Trouble』 映画「ハリー・ポッター」の曲ですが、大元はシェイクスピアにあるようです。展開とタイトルをほぼ同時に思いついたような回。
track 27『Overflow』 生物学あるいは情報学用語。溢流。感情が氾濫するという意味合いも。
Track 28『Artifact』 由来なし。人工的な理由による効果、人工遺物。訪れる水没都市を指しています。
track 29『Avance』 山中千尋「Avance」。フランス語で「前進」という意味。ここに来てようやく一つの大きな課題を乗り越える。
Track 30『Brand New Day』 上原ひろみ「Brand New Day」。新しい道を踏み出す。不安と、期待と。
track 31『Cue』 YMO「Cue」。互いに手がかりを掴む回。なぜかここまでで頭文字がABCと来ているけど、偶然です。
Track 32『Stratus』 気象用語。層雲。低く立ちこめる白色から灰色の雲。不穏な雰囲気。
track 33『Windfall』 英語慣用句。棚からぼた餅、思わぬ得、そして万事塞翁が馬。
Track 34『Flashback』 上原ひろみ「Flashback」。過去の影と、作られた幻。同じ罠に掛けられるパイロット。
track 35『Hidden Shadows』 Herbie Hancock「Hidden Shadows」。少年は心の奥にある影に怯え、2人の戦士は暗闇のなか戦い続ける。
Track 36『Dead End』 由来なし。「行き止まり」の意。好きな小説家の表題からとって『Deep End』にする案もありました。
track 37『Impulsive』 山中千尋「Impulsive」。衝動、直情的な行動。感情から来る閃光。
Track 38『Get Back』 The Beatles「Get Back」。取り戻す、家に帰る。ビートルズはあまりにも有名どころですが、我慢しきれずについ。
track 39『Solitude』 坂本龍一「Solitude」。孤立。すれ違った思いは解決されぬまま……
Track 40『Metropolis』 →Pia-no-jaC←「Metropolis」。「Mother City」の意。この話元々は「Capital」の予定でしたが、掲載直前に変更が入りました。
track 41『Madness』 ゲーム「Einhander」より。忠実なる狂信。ゲーム内でもこれが流れるステージでは類人猿風の汎用戦車が出てきます。
Track 42『What's it for』 アニメ「攻殻機動隊」より。朝はいつも巡ってきた。望もうと、望むまいと。
track 43『Point of No Return』 映画「Back to the Future Part III」より。帰還不能点を越え、あとは前に進むのみ。
Track 44『Divergence』 由来なし。発散(数学用語)。互いを信頼した「分担」と、おもちゃを手に「孤立」しはじめる暴君。
track 45『Warrior』 上原ひろみ「Warrior」。ついに現れる、最強の人形兵。"Fighter"とは意味合いの異なる存在、"Warrior"。
Track 46『Impatience』 ゲーム「Einhander」より。焦燥。1人、また1人と仲間が斃れていく。
track 47『Desire』 上原ひろみ「Desire」。強く思い、強く願えば、それは叶うのか。
Track 48『Alive』 上原ひろみ「Alive」。立ち上がり、それでも生きると言い続けること。
track 49『Left Alone』 Mal Waldron「Left Alone」。住んでいた場所も親しかった人々も失い、彼はたった1人、取り残された。
Track 50『Carillon』 山中千尋「Carillon」。鐘が打ち鳴らされたような衝撃。警鐘。まだ戦いは終わっていない。
track 51『Edge』 上原ひろみ「Edge」。境界線であり、境界戦(実空間と亜空間、境界上の戦闘)でもある。ぎりぎりのライン。死力を尽くした戦い。
Track 52『Inner Universe』 アニメ「攻殻機動隊」より。内的宇宙、無意識の迷宮が2人を捕らえようとする。
Track 53『Suite Escapism』 上原ひろみ「Suite Escapism」。"現実逃避"。現実と空想、本音と建前、彼自身も認めていなかった本当の心。そして真実。
Track 54『Hello World』 プログラム用語。拒絶ではなく、許容すること。想像を創造になぞらえるのは使い古されたアイディアですが……

登場人物への思い入れ

なるべく多くの作品から広く出したい。でも1人1人をしっかりと描写したい。
今まで書いた短編よりは長くなる予想があったため、それだけの期間にわたって(自分が)雰囲気を忘れずにいられる現実的な人数として
今回の11人という数字が出てきました。さらに初対面の相手を増やすために『X』から初参戦のファイターを多めに選び、
内訳としては初代5人、DX1人、X5人という偏り具合に。
もちろん、私は全てのキャラクターが好きです。が、今回の人選において私の願望が入っていたことは言うまでもありません。
結局のところ、自分が読みたい話を書くのが創作の面白さってものですからね!
ここでは登場人物について、物語内での立ち位置であるとか、登場させた理由であるとか、思い入れのあるシーンであるとか、
そういった楽屋話を紹介していきます。

リンク
・年齢:12歳前後
・立ち位置:すでに「主人公」としての実力を身につけた少年。ただ負けず嫌いであったり友達を大切にしたり、そういった性格は元からのものであり、自分としては昔と変わらない自分であるつもりなのに周りから「勇者」と呼ばれることに戸惑っていた。スマッシュブラザーズという、皆が何かしら規格外の強さをもっている集団に飛び込み、共に戦ううちに勇者という称号を受け入れられるようになっていく。とにかく簡単に諦めないことを信条とし、どんな苦境も逆境も知恵と勇気があれば跳ね返せると思っている。序盤は言わずもがな、大人達との衝突を経て終盤まで、ファイター達全員を引っ張っていく原動力の一つとなった。
・選んだ理由:けっこうお気に入りのファイターだったのに、『亜空の使者』にて出番がなかったトゥーンリンク。それがちょっと可哀想だったので、彼が主人公のシリアスな創作を書いてみたくなったのです。本編を書いていてアイディアに詰まった時は結構、こういう状況だったら彼は解決のためにどう動き出すかを考え、それをとっかかりにして書き始めていました。彼には何度助けられたか分かりません。
・思い入れのあるシーン:Track 48『Alive』 エインシャントに最後の切り札で真っ向から斬り掛かる
リュカがすでに工場を壊滅させるほどの切り札を発動させていたので、リンクにもどこかで切り札による見せ場を作ってあげたいと思いながら話を書いていました。やがて「エインシャントが最後になりふり構わず凄まじい暴走を見せ、そこにリンクがトライフォースラッシュでとどめを刺す」という構図が思いつき、それを温めながらようやく件のシーンに入った途端、気づけばリンクが剣を抜いて駆け出していました。それまでも元気印のこの少年が動いてくれて話が進んだ場面はあったのですが、48話のこの辺りはとりわけスリルを味わいましたね……ぼやぼやしてると書き損ねるんじゃないかと。もちろん、主人公なのでこれ以外にもたくさんの思い入れがあるのですが、長くなるので最も印象に残っていた一押しを一つ。
リュカ
・年齢:12歳前後
・立ち位置:この旅によって一番成長した人。傍から見ると引っ込み思案だが、芯は真っ直ぐで強い。原作では立派に主人公しているけれど、ここでは加入した時期が冒険の前ということもあって「自分が、自分自身の人生の主人公である、と自信を持って言えない」心理状態を引きずっている。それによるトラブルは、まだ気を許しきっていない序盤ではなくそれ以降、ある程度親しくなった頃に現れる。終盤ではトラウマを乗り越え、新型兵と一対一で勝てるほどに強くなっていた。彼の得た体験も経験もタブーの過去と共に消え去ってしまったが、もしかしたら何かしらの名残は残しているのかもしれない。なお、唯一の肉親を「お父さん」ではなく「父さん」と呼ぶようになっているあたりに、少なからぬ家族との隔たりを感じさせる。
・選んだ理由:「亜空の使者」ではポケモントレーナーと一緒に旅をしていたリュカ。MOTHERと、それに影響を受けたというポケモンがタッグを組んだのは胸が熱くなりましたが、個人的に二人の頭身差が気になって……。上のトゥーンリンクのこともあり、彼と組ませても良かったんじゃないの? とも思っていました。また、この話でリンクと対となるなら彼だろう、と。(同じ3頭身・金髪だし!)
・思い入れのあるシーン:Track 42『What's it for』 今まで逃げていた自分の過去と向き合い、涙を流す
ある人が受けた心のダメージを単純に比較することは難しいかもしれません。でも、リュカが旅立つ前に経験した喪失は彼の性格にただならぬ影を落としているはずです。何と言っても、まだ家族に甘えたい年で母と片割れの兄を喪い、安心できる居場所を失ってしまったのですから。この年でそんな経験をした少年が3年の月日を経てどんな子供に育っているのかと……、リュカを書く時は常にそれを想像する難しさが伴っていました。冒険の過程で周りのファイター達に必要以上の依存を示すようになってしまったり、時に過剰とも思える反応を見せたり、その一方でほとんど自己主張をしなかったり。類似した経験を持つサムスにその苦悩を指し示され、自ら受け止める展開は早いうちに決まっていましたが、いざ書く段になるとこれまた……どうすれば読む人も一緒に「ああ、これで良かったんだ」と思わせる文章になるのかと、頭をひねりまくっていました。
※2人の主人公について:
対照的な二人が出会い、時にぶつかり、時にすれ違いもありながら成長していく。最終的に力を合わせ、心を一つにして奇跡を起こす。勇気と希望。「ヒーローも完璧じゃない。普通の人のように苦悩し感情を持つ、同じ『人間』である」「偶像ではなく、そこに『居る』ようにキャラクターを書く」――それが今回の話で表現したかったところでもあります。また、主人公を一人に定めなかったことで、平等に出番と見せ場を与えなきゃと頭を振り絞った部分もありつつ、様々な視点から物語を語ることができて、話は紡ぎやすくなったのかもしれません。なによりも、この物語の原初となったシーンが「(トゥーン)リンクが手を差し出し、リュカが自分の手を重ねる場面。それが時と場所を、意味を変えて再現される」「消えてしまった物語。受け継がれていく繋がり」といった、もやっとした場面だったのです。誰を主人公に据えるかは、二人とも同時に決まりました。
マリオ
・年齢:20代
・立ち位置:中盤以降、生き残り達の精神(というより魂・ソウル)的な支柱となる。性格や物事に対するスタンスはリンクに似ているようでいて、いざというときはみんなをまとめる言葉をさらっと言える風格も。だいたい全て分かった上で、あえて三枚目を背負って立つ人。自分自身はまとめ役に向いていないと思っているのだが、周りからそれを期待されてしまうタイプ。だが完璧人間ではなく、どこか子供っぽいところもあるし、その場の思いつきで行動するから周りにちょっとしたとばっちりが行ってしまうこともある。働くことよりめいっぱい遊ぶことが好きで、なおかつ利他的で気負うところのない性格。青空のようにからっと晴れた、広い心の持ち主。エインシャント(タブー)に対しても「君」と呼び掛けるほど。
・選んだ理由:というより、彼を出さずにはいられませんでした。マリオのいない長編があるだろうか?!(あっても良いと思いますが) ゲーム内でも動かしやすい中堅キャラですし、他の作品も、もちろん全部ではありませんが遊んだことがあります。彼なら安心して出せるだろうとの計算の元、登場人物として選びましたが、その一方で彼がいるとそれだけで安心感が出てきてしまうため、さらわれて駒にされてしまう損な役回りになってしまいました。兄がいないという非常時に接したルイージの行動や、力とは異なる強さを体現したピーチの様子を描きたくなり、また彼がさらわれるとかなりの絶望感が立ちこめるのではないかと思いまして。でもなんかすごく申し訳なかったので、目を覚ました以降は思う存分活躍してもらいました。
・思い入れのあるシーン:Track 23『Lover, Come back to Me』 デュオンに向けて啖呵を切る
彼も色々とありますが、まず上げるとすればこれかも。全力で助けてくれた姫と弟を傍らに、少しも気負うところ無く胸を張って立つ。あまりあれこれくよくよと悩む性格ではなく、それまで自分が操られていたからと遠慮することもせず、相手が間違っていると思えばそれをはっきりと言う。それまで彼らしい彼を書くことができなかった反動として、思いっきり喋らせています。およそ4年近くも書いていると徐々にキャラクターの性格が変わるもので、マリオも実はその一人だったりします。このシーンも初版ではもう少しデュオンにけんかを売るような勢いで、挑戦的に振る舞っていたのですが、書いていくうちに普段の口調にも、一人称「俺」(公式では「僕」らしいと知ったのはだいぶ書いてからのことでした……)でありつつもミスターらしい(大人らしい)余裕が現れてきました。「悪を憎んで人を憎まず」。
ルイージ
・年齢:20代
・立ち位置:縁の下の力持ち。兄が留守の間は、彼の代わりにまとめ役を背負っていた。大人(主にサムス)と子供たちの仲裁であったり。兄よりも落ち着いて考えている分、気がつくことも多いのだろうか。どっちかと言えば勇みがちなみんなを抑える数少ない側の一人。他のみんなの切り札発動条件が「諦めない・負けない」という感情であるのに対し、彼だけ絶望だったのは……切り札の性質上、"諦めないぞ"からの"ネガティブゾーン"はおかしいかな、と思ったから。専門知識の持ち合わせは少ないかもしれないけど、持ち前の包容力と穏やかさで序盤のメンバーをまとめた。兄よりも性格としては落ち着いているが、大人というには(兄とは違う側面で)至らない部分もある。
・選んだ理由:地味に好きなんですよルイージ。彼1人で頑張る状況を書いてみたかったのです。何となくただ単に怖がりだけなイメージがありがちですが、格好いいところがあるんだと。いつもいかつい顔のクリボー踏んづけてるのに、ワドルディに対して尻込みしてるのはな……いや、あれは可愛すぎて敵だというように思えてないのかも。彼を書く際には、優秀すぎる兄弟を持った人がどんな気持ちでいつも考えているのか、といった辺りに注意を払っていました。
・思い入れのあるシーン:Track 20『Conflict』 サムスを説得し、船の修繕材料を取りに行く
よく気がつく方ではあるけど、それをどう指摘すれば良いか考えあぐね、そうしているうちにタイミングを逃してしまいがち……彼はそんな性格であるように思います。ところがこの辺りではまだ兄が見つかっておらず、自分の他に動いてくれそうな人と言えばピーチ姫くらい。でも彼女の手を煩わせるわけにもいかない。内心では緊張しながらも、彼は新しくやってきた仲間と旧知のファイターとを橋渡しする重要な役目を果たしていきます。兄の背を追いかけるのではなく、自分なりに答えを見つけて進んでいく。もちろん、念願の再会を果たした兄と息の合った共闘を見せ、煤だらけになって笑い合う32話のシーンも個人的にお気に入りです。
ピーチ
・年齢:20代(マリオ達よりちょっと上)
・立ち位置:腕っ節だけが強さじゃない! どんなに辛いことも歌いながら乗り越えそうな、そんな人。マリオとは、もはや恋愛関係を超えた信頼関係になっているような節があり、打ち明け話も気兼ねなくできる仲。どんな危機的状況にいても涼しげな顔をしており、彼女の見せる余裕は王族特有の威厳と説得力をもってメンバーの気持ちを落ち着かせていただろう。ルイージとはまた違うアプローチから、ファイター達の離散を防ごうとしていた一人。武力による解決よりも言葉による和解が信条であり、エインシャント(タブー)とも語り合いたいと思っていた。が、その機会は作れず……。
・選んだ理由:この話を単純な「善・悪」の二分論で終わらせたくなかったのです。敵も敵なりの理由を持ってるはずだと言ってくれそうな人として、ピーチ姫を出場させました。おそらく彼女なしではこの話は最初から最後まで「力と力のぶつかり合い」で終わっていたかもしれません。混ざっても良いところ頭脳戦でしょう。彼女の振る舞いは殺伐とした灰色の物語に彩りと和やかさを与えてくれたんじゃないかと思います。優しさや心の広さも、時に腕力に勝る強さとなる。ある意味、「思うだけで世界が変わるわけがない」と言ったタブーとは対極かもしれません。
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 ガレオムを説得しようとする
彼女自身は時間を稼ぐためとも思っておらず、本気でガレオムをこちら側に加わらせようと考えていたはず。結局それは叶いませんでしたが、敵であるはずのガレオムにも迷わず思いやりを向ける、姫様の器の大きさが見せられたんじゃないかと……思います。戦うシーンよりもこういった台詞のぶつけ合いの方が書きにくいのはいつものことで、この場合はガレオムに通じないという結末が待っているだけに、いかに「上手く行きそう」な雰囲気を出すかが難しかったです。展開上エインシャント(タブー)のところには間に合いませんでしたが、もし辿り着いてたらどんな会話をしていたのか……うむ、おそらく平行線になりそう。
サムス
・年齢:20代(ピーチと同じくらいか、やや上)
・立ち位置:生存者の司令塔。強さと賢さ、共に兼ね備えた最強の戦士。宇宙空間にも飛び出せるし、モジュール機能を掛ければ酸や溶岩の海にも飛び込める。でも、そんな彼女にも苦手なことはある。普段、ほとんど誰の手も借りずに宇宙を渡り歩き、軍での集団行動(しかも指示される側)も昔の話となっていた彼女にとってこのように強烈な個性を持つ面子を指揮するのは異例のことだった。何しろ彼女自身が他人の指図を受けることを嫌う性格であるし、孤高の戦士が集団のマネージメントなど得手とするはずがない。初めの方こそすれ違いやぶつかり合いも続き、危うく解散の危機まで行きかけるも他ならぬ仲間に助けられることで、この集団の中で自分が取るべき姿勢を見つけていく。かといって彼女に人望がなかった訳ではなく、リーダーを返上した後も作戦会議ではかなりの頻度で頼られている。
・選んだ理由:この人もけっこう最初の方から出番を決めていた一人です。世界観とキャラクターが好きなんですよねぇ……。マスターハンドからの情報を受け取っていそうな人物として相応しかったのもありますが、1~2話を書いた時点で「これずっと今後も歩き通しだったらなんかなぁ…」と思っていたのもあって、彼女には一旦向こうに渡ってもらい、マザーシップごと来てもらいました。まぁ敵の輸送機を頂戴しちゃうワイルドな展開でも面白かったかもなぁ。しかしそれにしても、リュカがトラウマを乗り越えるのを手伝ったり、メタナイトが早まった行動に出るのを止めたりと、この物語ではずいぶん熱く語ってもらっています。ご苦労様でした。
・思い入れのあるシーン:Track 47『Desire』 人形兵を一手に引き受けてリュカを先へと行かせる
本当は仲間思いなのに、それを言葉や態度として示さない鎧の戦士。物語の中でもスーツは一度も脱がず、序盤は冷たい雰囲気まで纏わせていました。いつも張り詰めているのは不測の事態に備えるため、メンバーとなれ合わないのは情報収集に時間を割くため。自分が所属する特殊な集団を襲ったいつにない非常事態に、必要以上に思い詰めてしまったのです。そんな優しさを持ちながら、それを気づかれることを嫌うサムス。全身を鎧で固め、武器と体術で戦い守ることでしか語れない彼女は、コンピュータのサーバールームに向かうリュカに対しても「自分に構うな、行け!」と叱咤します。でも、心を感じ取れるリュカには本当の思いが伝わっていたことでしょう。また、ピーチ姫とのやりとりも結構書いていて楽しかったシーンの一つです。女性として、弱い存在として見られたくないサムスですが、相応の実力を持つ同性にはつい気を許しちゃうんじゃないかなと。
カービィ
・年齢:永遠の天真爛漫
・立ち位置:天衣無縫のムードメーカー。何だかんだ言って運が強く、来た時点で眠っていたのにも関わらず木の枝に引っ掛かっていたために人形の目から逃れられたり、お腹が空いて道ばたで倒れてしまったのに、一番に通りがかったのがリンク達であったり。その悪運は、時にファイター達をも助けることがあった。もちろん運ばかりではなく、見た目のわりに実力はかなりのもの。追い詰められるほど凄まじい力を発揮する。また、滅多なことでは恐怖を抱かない。仕草の端々に、並み居るボスから「ピンクの悪魔」と呼ばれ畏怖される訳が分かるような言動をちらりと見せている。ただ可愛いだけでなく、時折はっとするようなことを言うことがある。
・選んだ理由:多くのファイターの中でも比較的自分が作品を把握していてネタも出せるような、そういった安全パイを入れておきたかったのです。『スマブラ』ではフィギュアくらいにしか出てこないコピー能力が何だか勿体なかったので、人形兵その他をコピーもとに、この話では思いつく限りの能力を使ってもらいました。スープレックスでビッグプリムを投げ飛ばしたり、ライトで目くらましをする辺りなど、書いていて面白かったなぁ。彼もまた書いているうちに微妙に立ち居振る舞いが変わってきた一人で、特にトリデラ・ロボプラを経た後は可愛いだけじゃない一面が表れたような気がします。タブーに対しても友達口調で話しかけちゃうの彼くらいじゃなかろうか。
・思い入れのあるシーン:Track 11『Behind the Mask』 "ともだち"を取り戻す
最初のうちに書くことを心に決めていたシーンであり、この話を書く上での原動力になった一幕でもあります。ただ上述のように、自分の中でのキャラクター像が徐々に変わっていったこともあり、今同じシーンを書かされたらまたちょっと違う描写になるのではないかなぁと思います。カービィはこの状況に戸惑いはするでしょうけど、友達に対してためらうことなく(助けようという意思を持ちつつも)全力で剣を振り下ろしそうな気がします。また、話中では知り合いらしい人がいるのをこれ幸いと思ったのかカービィの「お守り」が結構な割合でメタナイトに任せられており、自由気ままにはしゃぎ回るカービィに振り回されてるこの構図を書くのが……ハイ、正直に言うと無茶苦茶楽しかったです(笑)
メタナイト
・年齢:実年齢より老けて見られるタイプ(実はカービィと同じくらい)
・立ち位置:冷静沈着なトラブルメーカ……もとい、一歩引いた観察者。メンバー内ではおおよそ中立的な立場を取るが、自分が譲れないと思ったことには論理に裏付けられた言葉をもって意見する一人。そして、たまに吹っ切れるととんでもないことをやらかす。みんなと混じってわいわいやってないのは、ポップスターでは曲がりなりにもリーダーやってるから、そのプライドもあるのかもしれない。でも序盤、タブーの支配が解けた後は何だかんだ言いつつリンク達と行動を共にした。おおよそ「不惑」並みかというほどの落ち着き払った態度がデフォルト。今回の物語では、まれに素を見せてくれることもあった。誰かの下に従うといった状況を嫌う。だが、自分の納得できる理由を語られた場合は律儀に従い、全力を尽くす。
・選んだ理由:贔屓だと言われればそれまでかもしれません。カービィと同じく、ある程度ゲームをプレイして知っているからという理由もありますが。直接的なきっかけとしては、「スマブラ図書館」でハラハラドキドキしながら読み進めていた二次小説にて、彼がすでに故人となっていたという衝撃から。他の人が書くキャラクターも楽しんで読むタチだった私にとって、長編で活躍する姿をもっと見てみたかったのも事実。見たいなら作ってしまえば良いじゃないというわけで、今回の話に登場してもらっちゃったのです。でも、油断すると出番が多くなりそうな気がしてて、ちょいちょい削ったりしてました。
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 サムスを助けるために飛び立つ
20話『Conflict』のサムスの行動が無ければ、メタナイトはたぶんあのまま帰ってこなかったんじゃないかと思っています(カービィに見つかって思い切りハンマーというのもありだったかもしれませんが)。ともあれ、彼にとって論理で負かされるのはほとんど経験の無いことであり、それをやってのけたサムスには内心で一目置いていたわけです。窮地に陥った彼女を助けに行くあのシーンは、実は勝算も打算もなく、自分までも巻き込まれるかもしれないことなどそっちのけで飛び出していった状況であり、いつもの彼らしくない(逆に言えば本心をさらけ出した)行動を見せた場面でもありました。全力で守ることでしか仲間に思いを伝えられないという点ではこの2人、似ているかもしれません。
ピット
・年齢:外見上はローティーン
・立ち位置:まさに天使。序盤はFC版や『亜空の使者』から個人的に派生させたイメージで書いてしまっていたので、敵にも慈悲を掛け、あくまで戦闘は最小限に抑える。最初は仲間に対しても敬語がデフォルトという設定で書いていた。リンクに言われて以降は、外見上の同年代かそれ以下のファイターに対しては砕けた口調になっていった。最終的に明るくはつらつと礼儀正しく、かといって優等生と言うには元気がありすぎる、そんな感じの性格に落ち着いた。時々張り切りが空回りしちゃうタイプ。天使なので年は取らないけれど、おおよそ子供組の最年長(に収まっている)というイメージ。目の前の困っている人を放っておけない性格で、パルテナ様から仰せつかった使命はいつも心の中にありながらもルイージ達についていったり、リンクの代わりにリュカを見守ったり、最終的にはタブーの攻撃から2人を庇い、結局向こう側に辿り着くことはできなくなってしまった。
・選んだ理由:途中までは3人目の主人公として考えていたらしく、最終戦の場に並び立つ案もありました。みんなに出番と見せ場を用意し、ある意味全員が主人公と言っても良いような話になりましたが、書き進めるうちに、やはり最後の最後はリンクとリュカだけの方が良いだろうなと感じるように。そのため、彼も生身のタブーとは結局会わず仕舞いになってしまいました。なお、彼の住むエンジェランドがタブーに蝕まれ、今にも消えそうになっていたのは他でもない、FCでの一作が出た以降、久しく続編のないまま忘れられようとしていた『パルテナの鏡』をイメージしてます。それがスマブラへの招待状をきっかけにして息を吹き返し、華々しく復活したというわけで……。
・思い入れのあるシーン:Track 46『Impatience』 新型兵に組み付かれ、それでもルイージを助けようとする
この辺りの展開では次々とファイターが倒れていきます。どのキャラクターも大事に思っているがゆえに、彼らが倒れるシーンを書くのはなんとも切なかったですね……。自分1人でも生き残って先に行けば皆のためになると分かっていながらも、かつて探すべき敵も見失いさまよっていた自分を助けてくれた人を見捨てることができないピット。この他にもフィギュア化したカービィを守り抜いたり、リュカがリンクに謝ろうと決心する手伝いをしてあげたりと、彼はまたリンクとは違った「主人公」としての風格の持ち主かもしれません。32話『Stratus』でのメタナイトとの掛け合いは、書き始めてその面白さに気づいたシーンでもあります。こういうのはクロスオーバーの醍醐味ですね。
フォックス
・年齢:20代後半
・立ち位置:落ち着きあるサブリーダー的存在。熱血なマリオ&リンクと、冷静なサムスの橋渡しをしている。彼もまた「スターフォックス」のリーダーであるが、チーム内であまり大きな上下関係が無いからなのか、それとも本来の性格か、ここでは調整係のような立ち位置を進んで引き受けている。しかし彼自身のハートは紛れもない炎を秘めており、ふとした瞬間にそれを覗かせる。今回の事件で"クルー"となった皆のことは大切に思っており、加入直後のあたり、まだメンバーの間にわだかまっていたしこりにもいち早く気づいた。白兵戦もできないわけではないが、本業はパイロット。軍人や遊撃隊として様々な経験を積んでおり、知識に基づいた作戦をその場で立て、仲間と共に遂行するだけの柔軟さも持っている。
・選んだ理由:実は、11人の中で一番最後に出番が決まったファイターでした。といっても物足りないから増やしたってわけじゃありません。序盤から話数を重ねるにつれて、個性にあふれるメンバーがあっちこっち行きそうなのを、感情面だけでなく論理立てて説得し、まとめてくれるような存在が必要だなと感じるようになったのです。そして、なおかつサムスに「一人で全てを背負い込むな」と自分の経験も踏まえて言ってくれそうな人物。というわけで、初代からのファイターでもある彼を物語に組み込みました。結果的にその後の展開に馴染んでくれたので一安心……。
・思い入れのあるシーン:Track 37『Impulsive』 ランドマスターに乗り込み、デュオンを押さえつける
何かと勢いのままに突っ走りがちな面々の中にいて押さえ役を務めていたフォックスが、珍しく熱く滾る感情をさらけ出すシーンです。個人的に何となく彼は、雇われ遊撃隊という立場を自ら選んでいても士官学校時代の生真面目さが抜けきっておらず、自分のせいとは言い切れないようなミスまで背負い込みそうなイメージがあります。でも反省でつぶれてしまうのではなく、反省を通してさらに強くなっていきそうな感じ。このシーンでも、いくら怒りを抱えていても情報を聞き出す前にデュオンを撃っちゃったり、城から脱出するという当初の目的を見失ったりすることはなく、ちゃんと切り札が尽きる前に外に逃れます。第一声がなぜリンクを戦わせたのか、だった辺りなど、彼が皆から一目置かれている由縁かもしれません。
ロボット
・年齢:ロボットシリーズのプロトタイプ
・立ち位置:最後の参戦者。最終盤でやっと仲間になったので彼自身としての出番は少なくなってしまった。鋼鉄のボディを持ちながらどこか愛嬌のある仕草を見せ、心があるとしか思えない言動を示す。文字通信ができるデバイスを持ったサムスとしか話さずに終わってしまったが、彼の協力無しではタブーのもとにたどり着けなかっただろう。余裕があれば他のメンバーとの絡みをもうちょっと描き足したかったが、展開上難しいか……。
・選んだ理由:まず初めにあったのが、『ファミリーコンピュータロボット』があれきりで終わってしまったという事実と、それをタブーによる物語世界の崩壊にこじつけたいという構想(妄想)。そこから、タブーに操られたエインシャント(表ボス)というアイディアに繋がり、タブーの私怨をぎりぎりまでカモフラージュする「人間 対 人工知能」の構図が出来上がっていきました。また、他の任天堂作品に彼が登場することは、他世界探検の結果であるとのこじつけも自然と浮かび上がってきました。
・思い入れのあるシーン:Track 51『Edge』 諦めてはいけない、とサムスに伝える
やっても無駄だ、意味がない、叶うわけがない。生きていればそんな言葉にぶち当たることもあるでしょう。あるいは自分で思ってしまうこともあるでしょう。でも、私は敢えて「そうじゃないんだ」と言いたい。頑張れとは言いませんが、諦めろだの無駄だのと言う人にはなりたくないです。このシーンはロボットがタブーに操られていた頃のエインシャントとは決定的に違うことを示した場面でもあります。数字や計算は完璧ではなく、複雑な現実を何とか理解できる形に落とし込もうとした近似系でしかない。計算上の不可能は必ずしも本当の不可能ではない、と。
ガレオム
・立ち位置:敵側の数少ない、言葉をかわせる存在。最初の方こそ「どこか憎めない怪力馬鹿」だったのだが、自分より劣ると思っていたファイターによって崖から墜落しプライドを傷つけられ、復讐の感情に取り憑かれてしまう。生身の姿では亜空間の外に出られないタブーに代わって、彼の「力」を見せつける存在として作られた。タブーに対して誓った忠誠は並みならぬものであり、デュオンも含めた兵士の中でタブーが一番気に掛けているのは自分だと思っている。そこでタブーは、彼ならば何を命じても喜んで従うだろうとの目論みのもと、ガレオムに自爆を命じる。彼の頭に亜空間爆弾を付けてファイターにぶつければ、爆弾に手出しされることもなく確実に仕留められるという、非情な計算の元に。
・選んだ理由:敵側でもオリジナルキャラを出す予定は無かったので、ボスがタブーならと「亜空の使者」からこの戦車を持ってきました。原作が「X」のみなのを良いことに、結構設定自体は好き勝手しちゃってます。腹心が2体だと、片方が脳筋で片方が頭脳派になっちゃうのはお約束過ぎるかもしれませんが、そういう組み合わせが好きなんです。
・思い入れのあるシーン:Track 41『Madness』 壮絶な最期
これを思い入れというと誤解を招きそうですが……。実はガレオム、書き始めた頃は6話『Whirlwind』でサムスに完全にとどめを刺され、お役御免となってしまう予定だったのです。それが復活したのはこのパロ――オマージュした場面を描きたくなったから。思っていたより物語に長引く雰囲気が出てきて、デュオンとタブーだけだと寂しい状況になってしまったのもあり。亜空の使者では捕まるのはリュカとポケモントレーナーでしたが、ここでは(疲労の蓄積した)サムスに。敵側でもないとここまで復讐に狂ったキャラクターが書けず、その分彼らはずいぶん損な役回りが当たってしまったような気がします。ところでマシュマー・セロって言って分かる方いますかね……?
デュオン
・立ち位置:板挟みの苦労人。ガレオムとは異なり、効率的に軍隊を指揮しながらも、明らかに性能の劣る兵士達へ同情を向けるだけの思慮がある。同じ創造主に作られた兄弟と思っているのだ。彼らはタブーの「頭脳」を代理する存在として作られ、そのために彼にしばしば諫言を向け、時に不興を買うこともあった。デュオンからすれば最大限の吟味の末に出された客観的な結論を伝えているだけであり、その行動は忠誠心から出ているものに他ならない。また一方で、彼らがファイターに向ける目はガレオムとも少し異なっていた。タブーと異なり、直接ファイターに接して情報を分析し続けた彼らは言葉では否定しているものの、次々と不可能を可能にしてみせるファイターにいつしか好奇心を覚えるようになっており、タブーが新型兵のテストをするためにリンクを使えと命じた時には珍しく躊躇するような反応を見せた。
・選んだ理由:こちらもボスがタブーに決定したので自動的に。原作ではMr.ゲーム&ウォッチが影蟲によって変化した姿でしたが、ここでは完全にガレオムと同じ被造物として登場しています。ハイ、勝手に設定変えました! 一応言い訳をすると、タブーがラスボスとして現れた原作の"世界"からこちらの話のタブーも何かしらの影響を受けており、そのためにプリムからガレオム・デュオンまでのどこかで見た奴らを創って従えてるということを考えてます。両者とも、機械部品で出来ているように見えますが、もっと根本的には他の人形兵と同じく光の粒から作られているというていです。ガレオムが「亜空の使者」では脳筋っぽい動きをしていたので、必然的にデュオンは頭脳派の腹心として収まってしまいました。主のことを思って行うことごとくの物事がファイターの想定外の行動で覆され、すっかり信頼を失ってしまった不憫な重臣。
・思い入れのあるシーン:Track 51『Edge』 メタナイトとの一戦
終盤に来てファイターに対し連戦連敗を喫し、焦りと同時に知的好奇心を刺激されていたデュオン。彼らはついにその強さの源が感情・心にあると突きとめますが、まさか最後は自分たちが誇りにする「頭脳」において負かされるとは思ってもいなかったことでしょう。この辺りは戦闘と同時に台詞も考えなければならず、どうやって追い詰められたように見せるかに苦心しました。この話における彼らは、ガレオムも含め"ゲキむず"かそれ以上かと思うほどの強さを持っており、切り札なしに(機能停止でなく)戦闘不能に追い込んだのはサムスだけとなっています。ここまでべらぼうに強くせざるを得なかったのは、敵側で話せる腹心が2体しかいないのが原因かも。倒されても機械なので修理すれば復活できますが、ここでのボスはたび重なると躊躇無く廃棄処分にしそうですし。
タブー
・立ち位置:「亜空の使者」事件が起こらなかった世界において出番を失ってしまった"存在"。心を嫌っているわりには予想外のことが起こるたびに動揺し、短絡的で過剰な行動を取ろうとするなど精神的な不安定さを抱えている。ファイター達を含む数多の生命体よりははるかに優れた力をもって生まれたにも関わらず、亜空間から出ることができず、直接自分の手で他の存在に触れることが叶わないまま育ってしまった。そんなアンバランスな性質から、彼は常に高すぎるプライドと、それが報われないことから来る激しい憎しみを心の内に滾らせているのだ。最終局面で彼が消し去った時間の枝はどうやら一本だけではなく、もしかすると何パターンかの試行錯誤を行っていたのかもしれない。上手く行かなくなりそうになるたびに最終手段として時を巻き戻し、最初からやりなおしたのだろうか。
・選んだ理由:大方は上で説明された通り、「初代からXまでが繋がっており、一度顔を合わせたファイターは互いにそのことを覚えている」という設定で短編を書いていたためにタブーの登場する出番が無くなってしまっており、彼の話も書きたい=シリアスな長編も書きたいと思っていたこと。この話を書き始めるきっかけとなった大きな要因の一つです。マスターハンドを創造、クレイジーハンドを破壊とするのはもはや定石なのかもしれません。だとすれば、タブーは(ゲームにおいて)何に当たるのだろうか……と考えた結果が、本来意図されていないデータの配列をはき出してしまう「バグ」。それを否定と言い換え、役割が「ヌル」になってしまった彼を「この設定での」スマッシュブラザーズにおけるバグ――あり得ない存在としました。「亜空の使者」が無かった世界の、存在しないはずのラスボス。
・思い入れのあるシーン:Track 53『Suite Escapism』 全力を掛けた最後の戦い
短編にせよ長編にせよ、うまく表現できているかどうかはともかく一番書きやすいのは日常会話です。ついで風景。では逆に何が難しいかというと3位が戦闘シーン、2位が(人数問わずの)議論、堂々の1位が「真面目な言葉のぶつけ合い」。言葉によるタタカイってやつです。この話は戦いながら言葉もぶつけ合うという場面が前半を占めており、中々自分の中でも完成形が見えてこず、文章や台詞を削ったり増やしたりくっつけたりと、見直すたびに修正が入ってしまいました。ここでのタブーは不完全ながらも「神」と言いうる力を持った存在として考えており、ファイター達ならば倒せるというのも実は理論上の話でしかなく、その前に葬られてしまう可能性は十二分にありました。しかし最終的に彼は、他ならぬ自分の力が原因で倒されることになります。この、強すぎる力が故に自分の身をも滅ぼすという展開、ありがちかもしれませんが個人的にすごく好きだったりします。

書き終えて・雑感

自分が読みたいものを書く、というのは、モノカキならどんな人でも当てはまることかもしれません。
この『Open Door!』も例外ではなく、自分の特に出したいキャラを選び、その魅力を伝えられるようなシーンを考え、
隙あらば自分の考えとかメッセージとかそういったものをこれでもかと詰め込みました。
しかし、回を追うごとに自分の見たい物語のイメージは固まるどころか際限なく膨らんでいき、
気づけば2016年も後半、実に4年近くを費やしてようやく物語を終わらせることができました。
載せはじめから数えても3年。そのわりに話数は少なく、果たして最初の頃読んでくださった方に、ラストまで見せることができたのかどうか……。
内容については上の項で散々語りましたので、この下からは物語を書いていた時にあったことや考えたことをつれづれなるままに書いていきます。
グチっぽいところもあります。そういうのマジ勘弁という人は読まない方が良いよ!

それでも書く、書くったら書く

短編の時点でも着手から書き綴り、見直しそして投稿までに時間が掛かっていた私は、
そのペースで長編に行くならもっと慎重にならなければと、25話辺りまで書き上げてから実戦投入もとい投稿という形を取りました。
そのため試験期間などの理由を挟みつつも、見かけ上1ヶ月以上は空けずに次の話を上げられていたのですが
内実としては結構な期間と頻度のブランクが生じていました。データ上の作成日時を見ると
最長で28話~29話の8ヶ月、次いで37話~38話の3ヶ月、1ヶ月をブランクの基準とすると実に9回もの空白期間がありました。
最終話付近に向けて頻度が上がっていくのは言わずもがなですが、この間何があったかというと
まっ……たくと言って良いほど小説に手が付けられなくなっていたんです。開いては閉じたり、そもそも開くこともできなかったり。
理由はよくある自信喪失のこともありましたが、原因不明も多々。
(たぶん、いくら好きなものでも見つめ続けるうちに焼け焦げちゃうこともあるんでしょう)
もしかしたら同じ理由で苦しんでいる方もいるかもしれませんので、ここで私のとった対策を書いておきます。
敢えて、何もしないこと!
無理に書こうとしちゃだめです。締め切りに追われているならまだしも、趣味で書いているんですから何も自分を苦しめる必要はありません。
そうして休むうちにあるとき、ふと今までのを読み直してみようという気が起きてきます。
読み直すだけで終わってしまう場合もありますが、何回に一回は再びやる気が起きて、続きを書けるようになるはずです。

ブランクは不可避のイベント、気づいたときには巻き込まれてしまっているものですが
今回初めて長編を書くことになり、ぶち当たったもう一つの壁が「自己不信」。
「果たしてこの話は面白いんだろうか」「そもそも誰か真面目に読んでくれてるんだろうか」という、よくあるやつです。
出発点が自分の読みたい話を書く、という一人称から始まっているのに、
書き進めるうちに他の人からの反応を望み始めてしまうのは、いったいどういう心理のなせるワザなのか……。
他人からの反応。こればかりは自分がどうすることもできませんし、自信喪失の波が来たら堪える他ないのかもしれません。
(そしてそもそも、「誰かが頷かなければ満足できない、それで良いのか?」と自分につっこんでみたり)
その時に心の支えとなったのはずばり、愛、でした。
スマブラというゲームに対する愛であったり、キャラクターに対する愛であったり。
「このシーンを書くんだ!」「この不条理な状況から脱出させるんだ!」(その状況に放り込んだのは私だ!)という形の愛でもあったり。
それで劇的に気分が良くなったわけではありませんが、こうして、ようやっと最終回に辿り着けました。

これからどこへ行くべきか

何でも無いことで一喜一憂し、稀に頂く感想をあがめ奉り、そうして日々は過ぎ……
最終回近辺を書いている時に、とんでもないことが起こってしまいました。
活動場所であり、交流場所でもあった小説投稿サイト「スマブラ図書館」にアクセスできなくなってしまったのです。
その後290さんが建ててくださった掲示板に管理人さんから閉鎖のお知らせが届き、今に至ります。
書き終えた今だからこそ言えますが……まさか、図書館の方が先に無くなってしまうとは思っていませんでした。

この連載が終わったら、自分は二次創作から手を引こうと思っていたのです。
今回の話がああいう終わり方になっているのも、「これで終わりにしよう」という気持ちが自分の中にあったことと関係がありそうです。
4年前ほどの勢いで「書きたい・読みたい」という意欲が湧いてこない、というのも理由の一つ。
しかし一番大きいのが「ようやく身の程を知った」という超、超☆利己的な理由です。
苦労して初版を書き上げ、そこから半年以上の時間を掛けて一話一話を完成させているのに、反応をもらえる頻度でいえばmidiや絵にも劣る。
長編というのがハードルなのかと思いきや、同一環境内で比べてもちゃんと感想をもらえてる人はもらえている。
さながらだだっ広い大海原を、水も食料も尽きてもなおこぎ続け、憎たらしいほどの晴天に雨を請い願うような気分でした。
趣味でやってるんでしょと言われればそれまでです。でも、反応などどうでも良かったらそもそもネット上に公開なんてしません。
これはもう……自分の腕前は思っている以上にも良くなかったのだと。自分の文の至らなさは重々承知しています。
書き手としてはその時の限界まで頑張ってますが、読み手として見るとどことは言えない不十分さをいつも感じてました。
でも、ひそかな夢だったこの長編はちゃんと完成させよう、別れの挨拶はそれからだ、と言い聞かせながらわしわしと書いていました。
ところが、肝心のその載せに行く先がなくなってしまい……
今は、どうするべきか迷っています。スマブラ図書館が無くなったことでかえって頬を叩かれ、我に返ったと言いますか、
需要なんか無くて良いから、新しいのを書いてみようかという気もあります。一次でも二次でも。
堅苦しくないやつを、自分の好きなときに、気の向いたときだけ。

それでも、私は書くことが好きだ!

とかく二次創作には「エターナる」がつきものです。
それまで完成されているのが当たり前のような文庫本を読みあさってきた私は、スマブラ図書館やそこから繋がるサイトにお邪魔し、
ここでは最終話までたどり着けている方が珍しいのだということに気づきました。
でも、そりゃぁ当然ですよね! 業務でもなんでもなく、無銭で、ただひたすらに趣味で書いているのですから。
その分、エンディングまでこぎ着けた話を見るととてつもなく貴重なものにお目に掛かったような気分になり、
それだけで畏敬の念を覚えるようになりました。ストーリーが自分の好みのタイプであったならなおさらです。
じゃあ最終話まで行っていれば良いのかと言われるとこれまた難しいところですが……(自省)
また私には単純に、そして変に負けず嫌いなところがあり、「未完」という称号はもらいたくなかった。
このサイトに未完成のものを晒しっぱなしにするのも何ですし!

ここまで辿り着いたあなたは、大なり小なりおそらくこの話に何らかの興味を持ってくれたことと思います。
そういう人が一人でもいてくれたなら、私も最後まで全力を尽くした甲斐があるというものです。
ただ一つ気になるのは、この話を読んでくれた人に何を感じさせたか、何を伝えられたかということ。
もしお暇があれば、どんなに簡単な感想でも構いません。上の感想フォームからメッセージを下されば幸いです。

最後に。私はこれを最終話まで書き上げたこと、それだけでも一つ満足しています。
私は折れなかった。何をもってしても、私の心を折ることはできなかった。
その証を残すためにも、この小説は消さずにおこうと思っています。

最終更新:2016-12-02

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