気まぐれ流れ星二次小説

パラレル・カービィ

(A面)

ポップスターの片隅にあるプププランド唯一の村、ププビレッジ。
宇宙征服を目論むホーリーナイトメア社によって一度壊滅的状況に陥ったものの、
村人達の努力によって村は以前ののどかな姿を取り戻しつつあった。

ホーリーナイトメア社の黒幕、ナイトメアを倒した英雄も
今まで通り村はずれの丘の上に建つ小さな家で、のんびりと暮らしているのであった。

魔獣も現れなくなり、平和な日々が続く。そんなある日の朝のこと。

丘の上の家目ざして、姉弟が走ってきた。2人の前を黄色い小鳥が飛んでいる。
ポニーテールの女の子の名はフーム、その弟でおかっぱ頭の男の子がブン、小鳥の名前はトッコリである。

「やけに外が騒がしいからさ、静かにしろ眠れないじゃないかーって言おうと窓を開けたらよ、
あいつが宙に開いた穴に引っ張り込まれるところだったんだ!」

トッコリはせわしなく羽ばたきつつ、せっぱ詰まった様子で言った。

「なんで止めなかったのよ?」

フームが非難の眼差しを向ける。

「んなことできるわけねーだろ?!だって…オレただの小鳥だぜ?
それにあの気味の悪ィ笑い声…あーっ思い出したくないっ!」

「あ、姉ちゃん!あれ見て!」

ブンが前方、木の方を指さす。
その枝の一本には鳥の巣がかかっている。その巣の斜め上の空間、そこに穴が開いていた。

唐突に宙に浮かぶその穴の直径は、ぎりぎりフーム達が通れるほどある。
表面には油膜のように様々な色彩が揺れ動いており、向こう側を見通すことができない。

「あいつがここで寝てくれてて良かったぜ。
昨日は暑かったからホントはこっちで寝ようと思ってたんだけどな」

木に登り、穴を調べる2人の後ろで、トッコリはそんなことを言っている。

「トッコリ、本当にカービィはこの向こうに連れてかれたのね?」

真剣な表情で調べていたフームが振り返り、聞いた。

「ん?ああ。
…おい、ほんとに行く気かよ?」

リュックを背負い、立ち上がった姉弟を見て、トッコリは目を丸くした。

「当たり前だろ?カービィはみんなのヒーローだし、おれ達の友達だ!」

ブンが胸をはる。

「おいおい正気かよぉ…向こうに何がいるかわからないんだぜ?お前ら2人じゃ無理だって」

そんな困惑した声を背に、2人は枝を伝って宙の穴へ向かう。

「トッコリ、あなたは村のみんなにこのことを知らせてきて。それくらいならできるでしょ?」

フームはそう言うと返事も待たずに、暗い虹色揺らめく穴の中へ飛び込んだ。

一瞬の後、フーム達は森の上空に姿を現した。
あっという間に木の上に落ち、枝を盛大にガサガサといわせて草地に着地する。

「いてて…」

幸い草の丈が高く、密生していたためか、2人に怪我はないようだ。
すぐに立ち上がり、あたりを見回す。

見渡す限り緑の森が広がっている。ある程度陽光が差しこんでいて森の中は明るかった。
2人が想像していたよりも穏やかな風景である。

「カービィー!」

「いるなら返事してー!」

森に人気は無かったが、一縷の望みにかけてフーム達は名を呼んだ。
返事はなく、2人の声はたちまち森の中へと消えていく。

手がかりを求めて歩いていた2人は、森のはずれで二股帽子が揺れているのを見つけた。

「すいませーん!」

フームが声を掛けると、赤青帽子の人物はこちらを振り向いた。

「このあたりでカービィ見かけませんでしたか?ピンク色で丸い…」

「あぁそれなら!朝早くに青くてすばしっこいのが抱えてくの見たのサ!」

二股帽子はすぐに答えた。

「あの向こう、街の方に走っていったのサ」

森の外に広がる草原の向こうに、それらしき建物群が見える。
2人は帽子の人物に礼を言うと、森の外へと駆けだしていった。

しばらく街めがけて走っていると、草原が激しく踏み荒らされている場所に着いた。
それだけでなく、えぐれて土が見えていたり、草が焦げ付いて絡まり合ったりしている部分もある。
戦いの跡は辺り一帯に広がり、戦闘の凄まじさを想像させる。

「カービィ…誘拐犯と戦ったのかしら…?」

星の戦士とはいえ、カービィはまだ幼い。近頃はフームの指示無しでも戦えるようになってきてはいるものの…。

フームは草原を見渡してみたが、彼の姿は無い。
勝って逃げたか、力尽きて再び連れ去られたか…。

「姉ちゃん、どうする?」

立ち止まり考え込んだ姉に、ブンが尋ねる。

「街に行ってみるしかないわね。今のところあの人からの情報しか手がかりがないもの」

2人は再び歩き始めた。
しかし向こうに見える街は一向に近づいてこない。
どうやら思っていたよりもその規模は大きいようだ。

道は草原からアスファルトに変わる。
2人は街へ続く舗装道路の上を歩いていた。

だだっ広い草原の中を、ただただ真っ直ぐに横たわる灰色の道。
ひたすら単調な道を歩く2人の足どりは、暑さと疲れから次第に重くなっていく。

その時、白いバスが2人を追い越し、停まった。横のドアが開く。
2人を見つけて停まってくれたようだ。
後ろの電光板に『大滝のぼり→セントラルシティ』とある。

「セントラルシティ…きっとあの街のことだ!」

「乗りましょう!」

陽炎たつアスファルトの上から、冷房のきいた車内に入り、フーム達は2人掛けの席に座った。
寒すぎず爽やかな風が上から吹いていて、2人の汗を乾かしていった。

道路の途中で乗ってきた2人のことを、ちょっとした興味の色をうかべて見ていた乗客もいたが、
すぐに興味を無くし、前を向く。

一方、腰を落ち着けたフーム達は、乗客の姿を観察していた。
彼女たちとおなじキャピィ族の姿をした者は全くいない。
それどころか、彼らの姿は異常なほどバラエティに富んでいた。
手足が長かったり、耳がとがっていたり、動物の顔をしていたり…。

「ここ…ポップスターじゃないのか」

「そうね、きっとあの穴は別の星に繋がるワームホールだったんだわ」

「ワームホール?」

「空間の虫食い穴よ。遠く離れた2つの地点を、距離も時間も無視してつなげる穴のこと」

「ふうん…」

ブンはわかったようなわからないような顔をした。
フームは窓の外に視点を移し、近づいてくる大都会を見つめて半ば独り言のように呟く。

「ここはポップスターより遙かに文明が進んでるみたいね…」

手強い敵かもしれない。でも、

「…カービィ、必ず見つけてあげるわ」

道路が次々と合流して3車線になり、道ばたにもぽつぽつと建物が現れはじめた。
バスは減速することなく街の中へと入っていき、急速に風景が変わっていく。

フーム達は車窓に顔を近づけ、街の様子に目を丸くして見入っていた。
どこを向いても背の高い建物が並び、その隙間を人と車が埋めている。
2人の住むのどかなププビレッジとは、何もかも違っていた。

「すっげぇ…!」

感心しているブンの隣で、フームは首を横に振った。

「息が詰まりそう…。こんなところで暮らしてるのかしら?」

歩道をせかせかと歩く無数の人々の姿が、バスの外を飛び去っていく。

そうしているうちに、バスは目的地に着いたらしい。
早くも立ち上がり始めた乗客もいる。

「終点、セントラルシティ。お忘れ物の無いよう、願います」

録音したものとわかるアナウンスが流れ、降り口のドアが開いた。
乗客がぞろぞろと通路を歩き、料金を払って降りていく。

「お金が必要なのか!デデンは…通用しないだろうなぁ」

「…まぁ見せてみるだけ見せてみましょう」

2人の番が来た。フームは思い切って200デデンを渡してみる。
金属的で無口な運転手はその硬貨を見つめていたが、
やがてその内の50デデンをフームに返した。どうやらお釣りらしい。

バスを降りた2人を待ちかまえていたのは、経験したことのないほどの人混みだった。
右も左もわからず立ちつくすフーム達の周りを、様々な人が黙々と足早に歩いていく。

人混みを逃れ、とにかく人の少ない方へと歩いていった2人は、
セントラルシティ・バスターミナルの近くにある公園に足を踏み入れていた。

「なぜカービィはさらわれたのかしら…?」

よく手入れされた芝生の上を歩きながら、フームが呟く。

「ナイトメアの他にも、星の戦士を目の敵にしてるやつがいるんじゃないか?真の敵は私だーっとか言ってさ」

どこで拾ったのか、ブンは木の枝を振り回している。

「そんなのがいるなら、メタナイト卿からとっくに話があるはずよ」

メタナイト卿とは、銀河戦士団の1人であり、星の戦士としてカービィの先輩にあたる人物である。
デデデ大王の部下という複雑な立場ながら、カービィとフーム達を様々な局面で手助けしている。

「そういやこんなことになってんのに来ないな、メタナイト卿。
…ま、いつものことか。ギリギリにならないと来ないんだもんな」

「…今はまだピンチじゃないってことかしら?」

フームはそう言って自分を安心させようとした。その時、

 ワーーーーッ!!

公園に大音量の歓声が響いた。
見ると、公園に面したビルの壁面に掛けられた巨大な液晶画面を前に、人だかりが出来ていた。
歓声は画面の方からも聞こえてくる。

“スタジアム『戦場』第7試合!
ミスター・ニンテンドー マリオ  VS  スターフォックス隊長 フォックス!!”

その声と共に、画面の中のスタジアムに2人の人物が現れた。
赤い帽子を被ったひげ面の男と、未来的なデザインの服を着たキツネ面の男。

お互い、油断無く相手を見る。

“Ready...Go!”

赤帽の男が動いた。地を蹴り、キツネ男に近づく。
対し、キツネ男は銃を構えて撃った。光線が走る。
しかし赤帽の男がどこからか黄色いマントを出してさっと振ると、光線ははね返る。
キツネ男はそれを跳んでかわし、そのまま赤帽の男に迫ると鋭い蹴りを繰り出す。

「うわぁー…」

フームは弟の感嘆の声で我に帰った。
それまで画面の向こうで始まった“試合”を呆然と見ていたのだ。

「こんなのただの暴力じゃないの。…わたし、カービィのこと聞いてくる」

「ああ、おれも行くよ」

と言いつつも、ブンの目は画面に釘付けになっている。
フームはため息をつき、人だかりの方へと向かっていった。

「それってソニックのことじゃないかな?」

「ソニックと言えば、私、今朝街で見かけたよ」

「えっマジで?いつ?」

“ソニック”という名が出て、フームの前の人々は試合そっちのけで騒ぎ出した。
困惑するフームに、“ソニック”の名前を出した若い男がパンフレットを開いて見せてくれた。

「ほら、これがソニック」

そこには、確かに全身青ずくめの人物が載っていた。
手足が細長く、動物のような顔をしている。
そしてひときわ大きな字で『超音速のファイター』と書いてあった。

「この…“ファイター”って何ですか?」

フームが聞いてみると、若い男は目を丸くした。

「ここに来たのにファイターを知らないの?
…ファイターはね、まぁ手っ取り早く言うと様々な世界から集められた戦士なんだ。
日夜こうして乱闘をして、技を磨いてる。
君も乱闘を見に来たんだろ?」

「いえ、わたしはカービィを探しに―」

「あっ、そういえば!
朝見たソニック、何か抱えてたの…もしかしたらカービィだったかもしれない」

フームの後ろで女性が思い出したように言った。

「本当ですか?あれ…なぜカービィの名前を知ってるの?」

「なぜって、当然じゃない。カービィもファイターの1人。ここじゃ名前を知らない人はいないでしょうね」

「カービィが…ファイター?」

フームは混乱する頭をまとめようとする。
女性の話しぶりでは、カービィがファイターとなったのは昨日や今日のことではなさそうだ。
しかし、彼がさらわれたのは昨日の深夜。森で会った帽子の人も、今朝カービィを見たと言っていた。
…同名の人物が2人ということはないだろうか?

「すいません、もう一度パンフレット見せてもらってもいいですか?」

「ああ、良いよ」

“カービィ”のページを確認する。
しかし、そこにあったのは彼女が知る星の戦士、カービィとそっくりな人物の姿だった。

「…これって、どういうこと?」

呟いたフームの横に、やっとブンが戻ってきた。

「えっ…これカービィじゃん!何でこんなとこに載ってんだ?そんなに有名になったのか?あいつ」

パンフレットを覗き込み、大声を上げる。

「…ファイターってどこに行けば会えますか?」

フームはパンフレットを男に返し、尋ねた。

「確実に会いたいなら、向こうに見える城かな。ほら、あの森の中の。
ファイターは皆あそこの城に住んでるらしいよ。
…でも俺たどりつけたことないんだよな」

男はそう、不思議なことを言った。

フーム達は今、空中スタジアム行きのバスに乗っている。

公園の観客達から、そこが城に一番近いはずだ、と教えられたのだ。
はず、と言うのには訳がある。
どうやら公園にいた人の誰一人として、そこから城にたどりつけた者がいないのだ。

城に向かって真っ直ぐに歩いているのに、目の前で城は様々に距離を変え、いっこうに近づいてこないらしい。
そして気がつくと森の入り口に戻っている。

ただ、噂にすぎないが、ファイターの知り合いなら森を抜けて城の前まで行けるという。

「わからないわ…ワームホールを通ったとき、時間がずれたのかしら?
カービィは、わたし達よりもずっと前に、ここに連れてこられてファイターになった…」

窓の外をにらみ、難しいことを言っている姉に、ブンは

「とりあえずファイターに会いに行こうぜ。今どうこう考えたってしょうがないだろ?」

と声を掛けたが、返事はない。余程真剣に考え込んでいるのだろう。
普段からフームは、一度問題にあたると解決するまで朝も夜も没頭してしまうような性格だ。
それをわかっているブンはそれ以上何も言わず、肩をすくめただけだった。

――わたし達がププビレッジを出たのは朝だったけど、ここに着いたときは昼過ぎになっていた。
でも、その間に少なくても数日分の時間が流れてた、って考えるのはちょっと無理があるような気がするわ。
それになぜソニックって人がカービィを抱えてたのかも説明がつかない。

そう考えながら、街で手に入れたファイターのパンフレットを眺めていたフームは、あるページに目をとめた。

「トゥーンリンク…?リンクって人さっきもいなかったかしら」

ページを戻し、そして見比べる。
かたや子供、かたや大人。顔立ちも異なっていたが、
金髪に緑の服、とんがり帽子に剣と盾…両者にはかなりの共通点があった。

はっと気づき、カービィのページを開く。
先程はあまりにも似ていて同一人物だと思ってしまったが、今一度見ると細かな違いが目につく。

「これ…カービィじゃないわ…」

同じ名を持つそっくりさん。写真に写る彼は、リンクとトゥーンリンクよりもそっくりな別人なのかもしれない。

「だとしたら!」

やはりさらわれたカービィがここに着いたのは、ここでいう今日の早朝。
さらったのはあちこちで目撃されていたソニックという人物。
ファイターの“カービィ”はもともとここにいた別人。
そして星の戦士のカービィがさらわれた理由は―

「カービィがさらわれたのは、きっと彼をファイターにするためよ」

バスを降り、森の向こうに見える城の方へと歩きつつ、フームは自分の推理を披露した。

「ファイターはいろんな世界から集められたそうだし、その一環としてソニックに連れてこられたのよ
きっと彼も、他のファイターも強制的に集められたんじゃないかしら…」

「ファイターになるんなら、良かったんじゃないか?何か一言欲しかったけど、おれは賛成だよ」

公園で試合を見て以来、ブンは乱闘のファンになってしまったらしい。
バスを降りたときも、空中スタジアムをちょっとでいいから見ていこうと言うくらいだった。

「何言ってるのよ!あんな危ないことカービィにさせられないわ!」

もの凄い剣幕で怒るフーム。魔獣もいないのにわざわざ危険なことをしに行かせるなんて、彼女にはできなかった。

「乱闘は危なくないって。怪我とかしないようになってるらしいぜ」

「とにかく…この誘拐事件の首謀者を見つけて、カービィの居場所を聞き出さなくちゃ…!」

森の中を歩くうち、2人は視線を感じた。
正確には、どこからか分からないが見られている気がする、という漠然とした感覚だったが。

一歩一歩歩みを進めるごとにその感覚は強くなっていく。
敵意などはなく、ただ純粋に2人のことを知りたがっているような眼差し。
2人はあたりに注意しつつも、そのまま歩き続けた。

と、ふいに断ち切れるように視線が無くなり、同時に2人は森の出口に着いていた。
ププビレッジ近郊にある見慣れたデデデ大王の城よりも、シャープで古風な雰囲気があり、すらりと高い石造りの城だった。

城を囲む城壁の正門。2人はその前にたどり着いていた。
門は、バスの運転手に似た、金属的な人物が守っている。

手には武器など何も持っていないが、こちらを見てくる目には無言の威圧感があった。
門は広く、門番は2人しかいない。しかし彼らの目をごまかして忍び込むのは危険そうだった。

逡巡の後、フームは門番に目的を告げることにした。

「すいません、わたし達ファイターのソニックに会いに来たんですけど」

門番の1人がつかつかと近づいてきた。何も言わず、フーム達をその光る一つ目でじっと観察する。
あの森で感じた視線と似ていた。

「カービィについて手がかりが欲しくて―」

門番は果たしてフームの話を聞いているのかわからなかった。
一通り2人を調べると、前から退き、左手を門の方へ差し伸べる。
通って良い、ということらしい。

門から城までは広く真っ直ぐな道が延び、左右はきれいな庭に囲まれていた。時折噴水も見える。
もう少し奥へ行くと、手入れされた林になっている。

道の半ばまで来たとき、ブンがため息をついた。

「ふぅ…どうなるかと思ったぜ」

門番に調べられていた時、緊張したのはフームも同じだった。
しかし彼女の方は依然として厳しい表情をしている。

「きっとあの門もファイターの知り合いじゃなきゃ通れないんでしょうね。
ソニックとは知り合いじゃないし…もしかしたらカービィ、もうファイターにされちゃったのかも…」

開かれた大きな扉を通って城に入った2人を待ちかまえていたのは、吹き抜けのある広いホールだった。
中央に巨大な噴水があり、3階まであるだろう吹き抜けがその上に広がっている。
無数の照明があたりを柔らかく照らしている。

口をぽかんとあけてホールを眺めている2人の方に、誰かが近づいてきた。
メタリックなスーツに身を包んだファイター。パンフレットによれば、その名はサムス。
ホールの照明で右腕の銃身が鋭く輝いている。

フームは思い切って尋ねてみた。

「あ…あのっ、わたし達ソニックを探してるんです。今、ここにいますか?」

「彼ならリビングだ。…私が案内しよう」

バイザーの奥から油断のない一瞥をくれ、サムスはホールの奥の通路へと歩いていった。

「あんまり歓迎されてないみたいだな」

「ええ」

フームとブンは小声でそうかわし、サムスの後について城の中を進んでいった。

何事もなく長い廊下を抜け、2人はリビングルームに通された。
広い部屋にはソファや本棚、おもちゃなど生活感ある色々なものが置かれている。

リビングの中央あたりのテーブル、そこに青いハリネズミの姿があった。
椅子には座っておらず、テーブルに手をつき、こちらを向いて立っていた。

「ソニック!」

フーム達は彼に詰め寄ろうとしたが、赤い帽子の男がすっと割って入り、テーブルの前の椅子に座るように言った。
2人は渋々指示に従う。男は公園のモニターにも映っていたファイター、マリオだった。

マリオとソニックも向かいの椅子に座る。
ソニックは長い足を持てあますのか、足を組んで窮屈そうにしている。

「俺達の名前は…きっともう知ってるよな。君達の名前、教えてくれないか?」

マリオがまず口を開いた。口調は優しかったが、その目は2人をじっと観察していた。

「わたしはフーム。こっちが弟のブンよ」

「そうか。フームにブン、君達はなぜここに来たんだ?」

マリオは立て続けに質問してきた。

「もちろんカービィを探すためよ。
…わたしも聞きたいことがあるわ!ソニック、なぜカービィを誘拐したの?」

炎を操ったり、超音速で走るようなファイターを相手に、フームは身を乗り出し、強い口調で問いただした。

「証拠は挙がってるのよ。あなたがカービィを抱えて走るのを見た人、何人もいるんだから!カービィをどこへやったの?」

「誘拐…??」

マリオの眉が跳ね上がる。
なおも追求しようとしたフームを、ソニックが制した。

「Wait!何か誤解があるようだな。
オレは君達のカービィをさらってなんかいない。むしろ助けたんだぜ」

<B面 を セットしてください>

裏話

アニメ版カービィも、ゲーム版カービィも好きだ!…という思いがあふれすぎていきなりの続き物。
知ったのはゲーム版が先で、アニメ版を知ったのは実はここ1、2年の間なのですが、はまってしまいました。"超弩級"がつくほどはまってしまいました。
何だろう…ちゃんと子供も楽しめる筋書きで、実は社会風刺とかを含んでいるものも多い…。
当然のこと、登場人物も1人1人魅力的です。(…メタナイトのかっこよさを再認識したのはアニメのせいだろうなぁ)

しかし、やっぱり初めて知ったのはゲーム版でしたし、スマブラでもゲーム版の方を重視しているように思ったので、星カビ組の設定はゲーム版からとってます。
それでもどこかで諦めきれない思いがあったんだろうなぁ。

一応、時間設定はアニメ最終話の後、村のごたごたが落ち着いた頃を想定してます。

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