気まぐれ流れ星二次小説

Open Door!

Track09『Note from the Past』

~前回までのあらすじ~

虚ろな目をした人形兵、自分たちを狙う"エインシャント"、仲間であるはずの剣士の襲来。
灰色の世界で出会ったファイター、リンク(トゥーンリンク)とリュカは、自分たちが招待された"スマッシュブラザーズ"に何かが起きていると気づき、
手がかりを求めて、広大な世界の中を再び進み始める。

砂漠を進んだ先に見つけた、石塔の建ち並ぶ廃墟。
2人はそこで、カービィと再会を果たす。
彼と共にやってきた天使ピットも仲間に加え、彼らは追っ手の人形を迎え撃つべく廃墟の中心部に向かう。

一方、エンジェランドからの使者がこの世界に訪れたことを報告するデュオン
彼らは、天使ならびに彼を助けたファイターが第1工場に来ることを確信し、討ち取ることを約束するが、
エインシャントが彼らに命じたのは静観。すでに"駒"が残党のもとに向かっているというのだ。


  Open Door! Track 9  『Note from the Past』


Tuning

過去からの伝言

「ちぇっ、こっちに来てからゆっくりできたためしが無いぜ」

リンクは近づいてくる人形兵を見据え、愚痴を言う。

石塔遺跡のほぼ中心部には、広大な空き地が存在していた。
広さはちょっとした競技場ほどもあり、石塔が密集して立ち並ぶ中、ぽっかりと穴が開いたようにして佇んでいる。
そこでは地面もひび割れておらず、おまけに盾としてあつらえ向きの、大きな金属塊がいくつも転がっている。

細かな砂が降り積もったコンクリートの上に跪き、スクラップの陰から顔を覗かせて、リンク達4人は敵の出方を窺う。

視線の先、石塔の陰に、彼らを追ってきた歩哨の影が蠢いている。
ここから見る分には種類こそ多いものの、部隊の総数は少ないようだった。

翻ってこちらには、カービィ、ピットという実力未知数の仲間がいる。
彼ら2人がどこまで戦い慣れているか分からないのだが、しかしここは逃げるよりも戦う方が賢明だろう。
先ほどちらりと見えた人形兵の中には、車輪を備えたいかにも足の速そうな兵が混じっていた。

石塔に囲まれた人工の大地を、乾いた風が吹き抜けていく。

動きがあった。

敵の先頭、緑と黒の、もはや見慣れた下っ端人形。
石塔群のふもとから飛び出し、集団でリンク達の方へと駆けてくる。

早速リンクが矢をつがえ、放つ。ピットも反対側から顔を出し、風変わりな形の弓を使い始めた。

人形が1体、また1体と光に還る。
いつもの人形達なら、それでも立ち止まらずにそのまま突っこんでくるはずだった。
しかし今回、彼らは2、3体やられたところで退き、隊のもとへと戻っていった。

少しして、人形達が再びやってくる。
今度はその先頭に、宙に浮く銀色の球体があった。
大きさは緑服の人形達の頭ほど。今まで見たことのない敵だ。

牽制のため、リンクが矢を放つ……と、甲高い金属音があたりに響いた。
リンクは慌てて飛び退く。

見ると、彼の放った矢がすぐそばの地面に突きささっていた。

「はね返した……?」

敵はなおもじりじりと近づいてくる。

先頭には、先ほど矢を反射した奇妙な球体が浮いている。
それは、いつの間にか展開させていた短いブレード状のものをゆっくりとしまっているところだった。
おそらく、あれを使って矢を打ち返したのだろう。

おそらく、あれがいる限り、後続の人形を飛び道具で減らすことはできない。

接近戦に備え、ピットは弓を二振りの剣に変え、リンクも背のマスターソードを手に取りかけたが、
カービィが「待って!」と声を掛けた。

「いいかんがえがあるよ。
リュカ、ぼくをあの銀ぴかのボールの上におもいっきり投げて!」

「えっ?
……うん、わかった」

意図は分からないが、ファイターとして先輩である彼を信頼し、リュカは両手でカービィを抱える。
金属のバリケードから顔を出して狙いを定めると、カービィの丸い背中に右手を添えた。

心の流れ。それを一つにまとめ、放つ。
PSIによって加速を得たカービィは、鋭い放物線を描いて、銀色の球体へと飛びかかった。

反応し、球体のフタが素早く開く。
展開される、鋭く短いブレード。

硬い音。

地面に叩きつけられたのは、銀色の球体。
カービィはそのまま落ち、人形を何体か巻き込んで着地する。
砂煙が晴れると、彼がいつの間にかピンク色の岩に姿を変えていることが分かった。

「なんだあいつ?!」

あっけにとられるリンク。
その隣で、リュカもピットもぽかんと口を開けていた。

ともかく、銀色の球体は静かに光の粒となって消えた。
後ろの人形達はたちまちリンク、ピットの矢の餌食となる。

銀と青の雨の中、人形達は慌てて後退していく。
カービィは人形が周りから去ったのを見計らって、もとの姿に戻り、急いでこちらに戻ってきた。

敵は再び石塔の陰に隠れ、体勢を立て直しているようだ。
訪れた小休止に一息つくと、リュカは隣のリンクにこう言った。

「……何だか敵の動きが賢くなってる気がしない?」

「あぁ。誰か指揮してるやつでもいるのかもな」

リンクも、真剣な面持ちで頷き返す。
そんな2人に、カービィが言った。

「それならさっき、道のおくにそれっぽいのがいたよ!
カブトをかぶって、ヒゲを生やしたへんなのが、人形たちにめいれいしてた」

4人は慎重にバリケードから顔を出す。
確かにカービィの言葉通り、路地の奥に陣取る敵の中、何やら指図している者の姿がある。
古めかしい戦士の兜に覆われた、気球のような丸い姿。翼もないのに、それは宙に浮かんでいた。

接近戦は困難と見たらしい。
4人が見る間に、指示を受けた人形達がバズーカを構え始めた。

慌てて4人が頭を引っ込めるのと同時に、あたりが騒々しくなる。
断続的に響く、鋭い金属音。まるで金属の雨が降っているようだ。

敵の放つ光弾は狙いこそ良くないが、何しろ数が多い。
周囲の地面は、土砂降りを受けたかのように爆ぜ返り、
リンク達が背を預けるバリケードも軋み、揺れ、金属片をまき散らしていた。

こうも間断なく撃ってこられては、身動きのしようがない。
しかし、いつまでも隠れてはいられないだろう。
4人が出てこないのを見計らって、敵が歩兵を一気に差し向けてくるかもしれないのだ。

突破口を見つけようと焦り、くちびるを噛むリンクの横で、誰かが動く。
有翼の少年、ピットだった。

バリケードの端に跪き、彼が手に取ったのは、弓。
構えると同時に光の矢が生じ、彼はそれを矢継ぎ早に放つ。

しかし、構えている方角は"真横"。
当然ながらそこに敵の姿はなく、牽制にも何にもならないはずだ。

……しかし、音は止んだ。

3人がバリケードからそっと顔を出し、見ると、
広場のあちこちで、人形達が右往左往している様子が見えた。

彼らは全くの丸腰になっていた。飛び交う青白い光が、彼らのバズーカを次々と弾き落としているのだ。

鮮やかに曲線を描いて飛び交う、光のライン。
ピットの放った矢が、弓を離れた後も自在に方向を変え、確実に敵を無力化していた。
その気になれば人形そのものを撃つこともできるのだろうが、あえてそれをしない辺りに彼の性格がうかがえる。

「わぁっ! ピットくんすごいよ!」

カービィが無邪気に手を叩いて喜ぶ。
ピットは矢を射る手を休めず、しかしちょっと得意げに微笑んだ。
リンクとリュカは目を丸くして、不思議な矢の動きを追っていた。

そうしている間に、ついに指揮官の浮遊兜が兵を引き連れ、路地から空き地に出てきた。
細長いヒゲが細かく震えているのを見ると、どうやら怒っているらしい。
護衛のつもりなのか銀色の球体を側に置き、人形達を従えてこちらに近づいてくる。

浮遊兜が、その丸い体に似合わずやけに細長い腕をさっと振ると、
周囲の兵が一斉に、4人の潜むバリケードの方へと走り出した。

人形達の拳が、剣が、金属の塊をあっという間に砕く。

しかしその頃にはすでに、4人は円陣を作り、バリケードから離れていた。

後退する4人を追い、人形達が雪崩を打って迫ってくる。

それを迎え撃つリンクの目は平時と変わらず、生き生きと輝いてさえいた。
彼は牽制の弓を剣に持ち替え、笑みと共にこう言う。

「あの隊長、あんまし頭良くないみたいだな!
こんなに少なくなった手下をまだ戦わせるなんて」

炎を放って人形を退けたリュカは、視線を前に向けたまま言った。

「なんとかあいつを倒せないかな……そうしたら楽になるかも」

その言葉に、カービィが振り向いて応える。

「それならまず近づかなくっちゃ! あのピカピカのボールがいるから弓はきかないよ!」

人形達と戦いつつも、リンク達には会話をするほどの余裕があった。

「近づく、か」

何体目かの人形を斬り捨てたリンクの視界に、爆音と共に走ってくる一輪の敵が映った。
大きなタイヤ。前傾姿勢になり、猛牛のようにこちらへと突進してくる。

間もなく、赤い一輪が4人の間を駆け抜け、リュカ達は慌ててそれをかわした。
しかし、気がつくとリンクの姿が無い。

「リンクっ?!」

慌てて見回したリュカは、先ほどの一輪車輌の上にリンクを見つける。
彼は一輪の頭を無理矢理に引っ張り、操ろうとしていた。
一輪はもがき、必死に頭を振ったが、大した抵抗にはならない。

赤い一輪はそのまま空き地の外縁を大きく回り、浮遊兜の背後へと迫る。

思い切り一輪の背を蹴り、リンクは浮遊兜目がけて跳んだ。
浮遊兜がようやく気づき、手に持つ長いサーベルを振り向きざまに薙ぐ。

「……!」

歯を食いしばった、次の瞬間。

それを、リンクは宙を蹴り、身を翻してかわしていた。
引きつけた腕の下を、伸ばされた脚の下を、サーベルが空を切って通り過ぎる。

"二段ジャンプ"。偶発したそれは、ファイター特有の技のひとつだった。
自分でも信じられない様子で目を丸くしていたが、リンクはすぐに思考を切り換える。
表情を引き締め、剣を思い切り浮遊兜に叩きつけた。

「行くぞっ!」

浮遊兜がリュカ達3人の方へ、無防備な格好で飛ばされてくる。
迎え撃ったのはリュカ。
手の先に思念のエネルギーを込め、それを一気に解き放つ。

破裂音。それは周囲の石塔群にこだまする。
六角形の光芒が激しくきらめき、浮遊兜は光の塵と化した。

指揮官を討ち取ると、敵の動きはこれ以上ないほど明確に、単純なものとなった。
歩兵は統制を失い、てんでばらばらに攻撃を始め、呆気なく反撃を食らって倒されていく。

数分後、敵は全て消滅。
彼らの名残である光の粒だけが、空き地をふわふわと漂っていた。

「へへっ、ちょろいちょろい!」

リンクが剣をしまい、腕組みをして笑った。
隣ではカービィが楽しそうに小躍りしている。

一方、いつまで経っても光の粒が空に昇っていかないのを気にしていたリュカは、
それら粒子が、辺りの金属塊に吸い込まれていくのに気がついた。

「……リンク!」

広場には、いつの間にかざわめきが満ちていた。

あちこちで黄色い明かりがつき、瞳のようにこちらを見つめてくる。
金属塊が震え、骨張った腕のようなものが突き出て宙を引っ掻く。
四方で、金属のぶつかり軋む音が高まっていく。

4人は身構えた。

「何だ?!」

「分からない……でも、敵意は感じられないよ」

空き地に漂っていた光の粒は全て、金属塊に吸収された。

次の瞬間――

輝ける未来都市。

白銀の塔は誇らしげに建ち並び、その隙間を縫って流線型の車が行き交う。
道路は驚くべき事に空中にまで架橋されており、車が通るものと、人が通るものとに区別されているようだった。

人々は、肌の色も瞳の色も様々で、服装や髪型はそれに輪を掛けて多種多様だった。
彼らはそれぞれの目的の元、それぞれの意思を持ち、それぞれの方角へと歩いていく。

街に住むのは人だけではない。
箱のような頭部に、一見不器用そうな2本の腕。六角形の土台から伸びる、円筒の胴。
どこか愛嬌のある姿をした機械達が人に入り交じり、至る所で人を支えていた。

機械人形達はどれも同じ姿をしていたが、
階段の上り下りを手伝うもの、建物の掃除を手伝うもの……彼らの仕事は様々だった。
人間達は、そんな彼らに笑みを返した。機械人形も、どこか嬉しそうにしていた。

「……なっ、何なんだ? これ!」

リンクが慌てたように辺りを見回す。
4人はいつの間にか、見たこともない大都市の真ん中にいた。

自分たちの他、人一人いなかったはずの廃墟が一変し、
周囲には活気が、そして色彩が満ちていた。
あまりにも灰色の世界を長く歩きすぎたためか、4人の目には全てが強烈な鮮やかさを持って映る。

照り返しを受けて、キラキラと輝く道路。
整然と並ぶ木々は、力強い緑色の葉を茂らせている。
そして、摩天楼の隙間から細長く見える空の、なんと青く晴れ渡っていることか。

人形の呟きとは全く違う、生き生きとしたざわめきが満ちている。
すぐそばでは車が行き交い、人が機械と共に生活を送っている。
風化し、崩壊し始めていたはずの建物は新品同然となり、陽の光を受けてどれも真っ白に輝いていた。

そんな中、リュカがぽつりと呟いた。

「これ……幻だ」

行き交う人々からは、全く心が感じ取れなかったのだ。
まるで絵に描かれた人のように。

その言葉に、リンクは改めて周囲を見渡した。
今度は心を落ち着けて、注意深く。

彼の言うとおりだった。
街に突如現れた4人に対し、街の人は誰も反応を示していなかった。
あまつさえ、幽霊のように4人を突き抜けていく・・・・・・・人までいるくらいだ。

カービィは、面白がって人や機械の中にわざと飛び込んだりしている。

「これが幻だって?」

リンクは目を丸くし、陽の光を受けて輝く摩天楼を見上げた。
異国の言葉のざわめき、どこからともなく聞こえてくる音楽が混ざり合い、空に満ちている。
そばに生えている街路樹も、手を伸ばせば触ることができそうなほどの質感を持っていた。
これが、全て幻なのだろうか。

4人が見ている間に、都市の様子が少しずつ変わってきた。
石塔の隙間から見える都市の外に、二重、三重の防壁が築き上げられていく。
ただでさえ高い石塔よりもさらに高く、一面に白い壁。

人々の表情もどことなく暗く、不安そうになっていった。
機械達はそんな人間に寄り添い、無言で彼らをなぐさめているようだった。

やがて、都市の外から大勢の人がやってきた。
男や女、老人に青年。リンク達と同じくらいの子供もいた。
都市に押し寄せる大型の車は、次々と疲れ切った顔の人々を吐き出し、また走り去っていく。

それら雑多な集団には、ひとつ共通する点があった。
誰も彼も皆、その背に荷物を背負っているのだ。

「……避難してきたのか」

リンクは、そんな彼らの様子を見て呟く。

避難民は街の人と共に、街の中心部に向かっていた。

4人の周りの光景も、人の流れに乗るようにしてそちらに向かっていく。
足を動かしていないにも関わらず周りの様子が変貌するのは、かなり奇妙な光景だった。

やがて、街の中心部らしきところに辿り着く。
そこには、最後の防壁があった。
4人の立つ前に出入口があり、開かれた門の向こうを目にした4人は思わず目を疑った。

門の向こう、未来都市の最奥部には広大な自然が広がっていたのだ。
緑したたる草原と、点在する森。その間を縫う川。手つかずの自然。
それらがどこまでも続き、一種の聖地のようにして摩天楼の中心に横たわっている。

しかし4人が目を奪われたのは、それだけではなかった。
緑地のほぼ中央にただ一つ、人間の手による構造物が建てられていたのだが、
それがあまりにもあらゆる点で、4人の想像できる範囲を超えていたのだ。

完璧な卵形の、巨大な建物。表面はなめらかな光沢を持ち、灰色に曇った空をつぶさに映し出していた。
白さと言い、つやめきと言い、まるで産みたての卵を立てて置いたかのように見える。
卵はいくつものタラップを延ばしており、見ている間にも、そこから次々と人が中に入っていった。

用途は分からない。推測することしかできなかった。
巨大なシェルターなのだろうか。しかし、何から身を守るための?

リンク達4人は開かれた門の前に立ち、その様子を遠くから眺めていた。

やがて避難民の流れが途絶え、それまでの人とは様子の違う一団がやって来た。
白い機械人形を大勢従え、紺色の制服を着た彼らは、逃げ遅れた人がいないかどうかを確認しているようだった。
彼らに守られるようにして、老人や幼い子供が街のあちこちから歩いてくる。

最後の避難者を無事塀の向こうまで送り届けると、制服の人々は立ち止まり、機械人形に何事かを指示し始めた。
何を話しているのかは、石塔の間を吹き抜ける風に紛れ、よく聞こえない。

機械達は頷き、一部は制服の一団と共に門の中へ、残りは列をなして街へと戻っていった。
住む者もいない、しんと静まりかえった大都市へ。

風景がほんの一瞬、水蒸気のように不安定に揺れる。
再び焦点が合ったとき、街の様子は一変していた。

空が赤く燃えている。
灰色の雲はどれも皆腹を赤く焼かれ、苦しげに身をよじっている。

大地を根もとから揺さぶるような爆発がひっきりなしに起こり、辺りの石塔が呆気なくくずおれていく。
整然と区画された街並みは壊れ、歪み、見る間に混乱の中に沈んでいく。

機械達が戻ってきた。
街の四方から、じりじりと後退してくる。

彼らが見る先からやがて現れたのは、嫌と言うほど目にしてきた、人形達だった。
あらゆる道という道から、あの虚ろな目をした兵隊が行進してくる――いや、あふれ出てくる。
無感情な赤い瞳、瞳。無数に揺れて、不気味なほどゆっくりと迫ってくる。

そしてその後ろから、地響きを立てて巨大な機械が現れた。
大きな前腕。全身を金属の鎧で固めたそれは、ガレオムだった。
右腕に破壊された跡が無いことからこれも幻だということは理解できたものの、あまりの巨大さにリンク達は思わず身構えてしまう。

ガレオムは、当然のことながら4人には見向きもせず、機械の隊列に突っこんでいく。
風を唸らせて腕を振り払えば、一気に十数体もの機械が弾き飛ばされ、高く宙を舞う。
機械達の抵抗空しく、彼らは次々とはね飛ばされ、人形達の餌食になっていった。

機械達は実に、大人の肩までの大きさがある。
そんな彼らを、ガレオムはまるで虫けらでも払いのけるかのように弾き飛ばし、押しのけて、
ついに4人のいる、門の前までたどり着いた。

門を越えれば、広大な緑地、そして人間達が身を寄せるシェルターがある。
しかし、当然のことながら門は固く閉ざされ、
塀にずらりと並ぶ深緑色の機械人形が、礼儀知らずの侵入者を静かに見ていた。

塀の向こうに遠く見える巨大な卵は、表面に色とりどりの光を点滅させている。
この世界の技術を知らないリンク達にも、シェルターが何かしらの機能を発現しようとしているのだと分かった。

それをにらむと、ガレオムは門を前にして身を低くかがめた。
鋼鉄の足が大地をえぐり、途方もない質量が門に激突する……が、次の瞬間、ガレオムは激しい光と共に弾き飛ばされた。

どうやら見えない障壁が張られていたらしい。
防壁の外側にもう1枚、未知の技術でできたバリアが張られているのだ。
ガレオムは唸り、起き上がるとバリアを何度も殴りつけた。

電撃が散り、青みがかった透明な障壁が揺らぐ。

残り少なくなった機械達は、それでも最後の力を振りしぼり、ガレオムに食らいついた。
細い腕で足にしがみつき、レンズのような目から光線を放つ。
塀の上にいる深緑の機械人形も、ミサイルでガレオムや人形達を食い止めようとしていた。

しかし、人形達はあまりにも多かった。
1体やられたそばから、十数体もの後続がなだれ込んでくる。
機械達は、次第にそれら人形達の波に覆い隠され、見えなくなっていった。

その時、ひときわ強い光が塀の向こうから放たれた。

人形達も、そしてガレオムまでもが思わず攻撃の手を止め、驚いたようにその方角を見つめる。
程なくリンク達にも、何が起こっているのかが見えてきた。

激しい閃光の中、塀の向こうに黒い山が出現していた。
――いや、それは山ではない。よく見れば、それは木々のシルエットを伴っている。
塀の中に広がっていたあの豊かな緑地が、あり得ない角度で持ち上がっていくのだ。

そう、変化は収まっていなかった。
白と黒で描かれた世界の中、加速度をつけて空間は歪んでいき、大地は宙に吸い込まれるように細長く高く立ち上がり……

光が止むと、巨大な卵シェルターは跡形もなく消えていた。
それだけではない。
あの広大な緑地も、それがあった空間ごと切り取られるようにして無くなっており、
ボロボロになった塀の残骸だけがこぢんまりと小さな円を描き、残っていた。

狭くなった空き地に立ち尽くしていたガレオムは、苛立ったように拳を地面に打ちつけた。

ガレオムが人形を引き連れ、去っていく。

うち捨てられた未来都市。
かつての栄華の跡はどこにもない。

ただ埃を含んだ風だけが、ビルディングの間を吹き、虚ろな音を響かせていた。

空き地に残されたのは、壊れた機械人形の白いボディー。
無造作に転がり、ピクリとも動かない。

点々とついていた黄色いセンサも、1つ、また1つと消えていく――

石塔の間を吹く風の音で、リンク達は我にかえった。
幻の光景があまりにも現実と似たところで終わったので、しばらくの間それに気がつかなかったのだ。

目の前に転がる金属塊――機械人形の残骸の目には、もう光は灯っていなかった。
漂っていた白い粒子も、いつの間にか跡形もなく消えている。

リュカは、近くに横たわっていた機械の側へ行き、その暗いセンサを覗き込む。

「今のは……彼らの記憶、だったのかな……」

今はもう聞こえなくなってしまったが、彼らは紛れもない一つの思念を持っていた。
血の通った人間とは異なる"音色"。でも、注意深く耳を澄ませばその意味するところは自ずと分かった。

『伝えたい』。
単純な、しかし義務と責任にあふれた意思。

もしかすると、その強い思いが白い粒子に作用し、リュカ達に彼らの記憶を見せたのかもしれない。

リンク達がピットの異変に気づいたのは、再び店を探して歩いている、その途中だった。

「……あれ、ピットさん。どうしたの?」

リュカが振り返り、声を掛ける。
気づけばピットは、一行の随分後ろを歩いていた。

何でもない、というように笑って手を振り返すピット。しかし、その頬は妙に赤かった。

「……」

ぱっと、リンクが戻ってきて、有無を言わせずその手をピットの額に当てた。
間もなく、その目が驚いたように見開かれる。

「何が大丈夫だよ、熱出てんなら早く言えよ!」

カービィに聞けば、彼が見つけたときピットは大雨の中戦っており、そしてカービィに助けられてここまで飛んできたという。
濡れた服は風が乾かすままにしたというから、風邪を引かないわけがなかった。

今、ピットはテントの中に横たえられ、眠っている。
リンクが持ち合わせていた妖精の粉を使ったものの、依然として寝苦しそうにしており、熱が引いた様子はなかった。

人形兵の巡回を警戒し、テントは崩れた高架道路と石塔に囲まれた小広場に隠れるようにして立っている。
ピットを安全地帯に残し、あとの3人は外で車座になっていた。

「まいったな……」

あぐらをかき、リンクががしがしと頭をかく。
今は早く食料を調達し、少しでも先に進みたい。
だが、ピットの風邪が全快するまで、下手に動くことは出来なくなってしまった。

思わぬ足止め。

白い空に浮かぶ灰色の雲を数え、考えていたリンクは「よし!」と膝を打ち、立ち上がる。

「リュカ、お前たしか治す力あったよな?」

「えっ?
あぁ、"ヒーリング"のこと?」

「そう。それ、やってみてくれ。
おれはカービィと一緒に、食料を集めてくる」

「でも、風邪に効くのかどうか……」

「やらないよりゃましだろ?
ともかく、あの人形に見つかんないように、留守番頼むからな!」

そう言うが早いか、リンクは立ち上がった。

テントに戻ったリュカは、ピットに両手をかざして"ヒーリングα"を試みていた。
目をつぶり、探るように両手を宙で動かすたび、淡い光がピットに向けて流れていく。

時々、リュカは顔を上げ、テントの外に気を配る。
十分念を入れて探し出した隠れ場所とはいえ、
人形達が一体どういう感覚によってこちらを察知してくるのか、分かったものではなかった。

だが、見たところ人形達のあの虚ろな心は感じられない。
リュカは安心し、再び治癒に専念した。

毛布を掛けられた茶髪の少年は、熱で少し寝苦しそうにしていた。
悪い夢でも見ているのか、彼の国の言葉で何かを呟いている。

ふと、彼の心が聞こえてきた。
申し訳なさと、無力感。

「気にしないでください」

リュカはそう呟いたものの、
ピットのその気持ちが、どうも自分たちだけに向けられたものではないことを感じ取っていた。
ここにはない、どこか。あるいは、誰かに対する強い感情が、確かに聞こえていた。

そういえば、ピットは一体何のためにエインシャントの手下らしき者と戦っていたのか。
誰かに命じられて……?

リュカは首を振る。
それはきっと、いずれ分かることだ。
彼は僕らの仲間。今は彼を治すことだけを考えよう。

ピットは熱にうなされながら、閉じたまぶたの裏に様々な幻を見た。
頭が燃えるように熱く、思考が形にならない。
ただひとつ、彼が思うことは。

"僕が……あんなことを考えるべきじゃなかったんだ。"
彼は繰り返し、熱に浮かされてその言葉を呟いていた。

――
―――

エンジェランドの天空界。
ピットを初めとする天使達が住まい、全てを見守る天上の都。

はるか下の地上界には美しい緑があふれ、仰ぎ見れば深い青色の空が広がっている。
その間には、それら自然の美に負けず劣らずの神殿が浮かんでいた。

年月を蓄え、その上でいつまでも初々しい輝きを持つ白亜の神殿の石段に、1人の天使が座っていた。
肘をついてその手に顎をもたせかけ、足元の雲の切れ目から眼下の地上界を眺めている。

これが"事件"が起こる前の、彼の姿だ。

午前のパトロールが終わったピットは、下界の草原に群れている羊の数を何とはなしに数えている。
天空界の足場を作る雲と同じくらい、羊たちは柔らかそうな毛並みをしていた。
羊飼いの管理がきちんと行き届いているのだろう。

ピットは次に、視線を草原の向こう、丘のふもとへ向ける。
そこから先は街が広がっている。
ゴマ粒のように小さな人たちが活発に行き来し、様々な品物をやりとりしていた。

その小さな姿を見ていたピットは、いつの間にかもめ事を探している自分に気がつき、慌てて首を振る。

――だめじゃないか。僕は天使なんだ。
幸せを願い、守るのが仕事。争いごとを望んでちゃだめだ。
…………
……
……それにしても、暇だなぁ……。

空はどこまでも青く、辺りは照り返しによる柔らかい光に包まれている。
メデューサの起こした反乱が鎮圧されて以来、エンジェランドには事件らしい事件もない。
地上にも、天界にも、そして冥府界にも。

平和なのは良いことだ。喜ぶべきことだと分かってはいる。

しかし、風が吹くたび、彼は思い出すのだ。
冥府界を脱出して、メデューサを倒すために世界を駆けめぐったあの頃を。

決して、あの時を望んでいる訳ではない。

――でも……なぜだろう。
……なぜ、風が吹くとこんなに胸が騒ぐんだろう?

「どうしたのです、ピット」

彼の背中に、声が掛かった。

はっと我に帰って振り向くと、神殿の戸口にはいつの間にか1人の女性が立っていた。
深緑の髪をゆるやかに腰のあたりまで伸ばし、光輪を頂いた有翼の女神。
彼女こそは光の女神、パルテナ。エンジェランドを治める天空界の主だ。

慌てて姿勢を正し跪くピットを、パルテナは目を優しく細めて見守る。
髪をそっと揺らして首を傾げ、女神はふと微笑んでこう言った。

「退屈そうな顔をしていますね」

ピットは心の中まで見透かされたような気がして恥ずかしくなり、何も言わずに目を伏せた。

そう。確かに彼は退屈だった。
いつもはそれを不謹慎な考えだとして慌てて隅に追いやっていたが、退屈だというその思いはずっと心にあった。

そんな個人的な思いが災難を呼ぶわけもないのだが、
ピットは、後に起こった災厄を、ほぼ自分が招いたものと思いこんでいた。

ある日イカロスの1部隊が、北方の草原が"消えた"という報告を持って、息せき切って戻ってきた。
それを皮切りにして、エンジェランドのあちこちで様々なものが消え始めた。

家、畑、森――消える規模はどんどん増していく。
山脈、湖、河川――その頃になっても、エンジェランドでは消滅の原因を突き止められずにいた。

初めは冥府の者の仕業と疑ったが、冥府界から返ってきたのは憤慨混じりの抗議だった。
彼らはイカロスに、虫食い状に蝕まれた領土の惨状を見せた。
消失は、冥府界でも等しく起こっていたのだ。

何もできないまま月日は経っていったが、ただ1つ、時間と共に分かっていったことがあった。
消失したところには何も残らない。地面さえもない。
ただ茫洋とした白い闇が、そこに居座るのだ。

光の女神の領地を荒らす者に憤慨したイカロスや、失われたものを取り戻そうとした人間が、何人もそこに飛び込もうとした。
しかし、彼らはことごとく得体の知れない力に弾き飛ばされてしまった。
空白の手前には見えない壁が存在し、何者も通り抜けることはできなかった。

だがそれが分かったからといって、何ができるというわけでもなかった。

防ぐことも、抗うこともできず。
ゆっくりと、しかし着実に蝕まれていく世界。

全ての生き物は、住処を失って無傷の大地に避難してきた。
すなわち、天空界の真下へと。
その頃には、虚無の闇が地上界を包囲し、事実上これ以上の逃げ場は無くなっていた。

地上界の人間達の嘆願は、日に日に数を増し、切迫した様相を示していく。
女神パルテナは、長らく人間の出入りを禁じていたここ、天上界への避難受け入れも考え始めていた。
そんなとき、虚無の壁に接近し調べていたイカロス達の師団が戻ってきた。

ここ数ヶ月の間に起こった消失は、エンジェランドの"外"に要因がある、と突き止めたのだ。
果物をかじり取っていくように、この世界の外にいる何者かが、"物事を存在させる力"を奪い取っている、と。

対象は決まって、石や水などの無生物。草木が巻き込まれることはあっても、動物や人間が消えることはない。
存在する力を奪われた物は内部から形を失ってほどけ、色を失い、虚無の中に吸い込まれていく。
イカロス達は、消失の過程も詳しく観察していた。

ピットも率先してイカロス達を指揮していた。
ただし、彼の指揮する小隊は調査ではなく、護衛を目的としていた。
人間達や動物達を無事に他の所へ避難させる。それが、彼に任された任務だった。

もはやその頃には、毎日のように空間の消失が起きていた。
ぼろぼろになった世界のあちこちで、いつも誰かが住む場所を失い、彼はその度に護衛隊を率いて向かっていた。
寝る暇さえなく、かつて自分が退屈を覚えたことさえ、意識に上ることはなかった。

そんなある日のことだった。あれに出会ったのは。
ピットは、あらゆる生き物を拒絶する虚無の中に、何者かが立っているのに気がついた。
こちらをじっと見つめているそれは、見慣れない姿をしていた。

黒い肌を持つ、人形じみた赤い瞳。ひどく簡素な緑の服。

誰何しようとした彼の前で、そいつはふっと空白の向こうに消える。
代わって、その奥に一層大きな者が現れた。

「……」

それ、あるいはそれらは、白い闇の中からゆっくりとこちらに近づいてきた。
鋼鉄で出来た奇妙な身体。鏡映しに作られたような、2つの上半身。
見上げるような大きさになった"それら"は、虚無の見えない膜を隔てて、ピットを睥睨した。

ピットはそれをにらみ返し、双剣弓を持った手に力を入れる。
空いた手で、背後のイカロスと人間達に早く逃げるように指示する。

そんな一部始終を、鋼鉄の生ける戦車はまるで興味の無さそうな目つきで眺めていたが、
ふいにきびすを返し、虚無の中へと溶け込んでいった。

それが、"外"にいる者の姿を初めて目にした時だった。

「この世界の外にいる者に対し、私が出来ることはもう1つの入り口を開くことだけ……。
向こうの者達に気づかれないよう、ここと向こうをつなぐ扉を開けることだけなのです。
そこから先は、あなた1人の肩に掛かっているのですよ、ピット」

威厳を持って、パルテナは静かに告げた。

真剣な表情をして頷き、ピットは双剣弓に手を添える。
闇の女神メデューサ討伐の功績をたたえ、パルテナが彼に贈ったこの世に二つとない武器。
その刀身は、持ち主の自信を映すかのように、鋭い光を持って輝いていた。

パルテナはついに、地上界、冥府界の避難民を天空界に受け入れる決定を下していた。
だが、それは一時しのぎでしかない。
このままでは、いつかは天空界さえも虚無の闇に飲み込まれ、"エンジェランド"という世界は消滅してしまう。
解決するにはこの世界の外へ行き、エンジェランドを蝕む者たちと会い、直ちに侵略を止めさせる必要があるのだ。

それができるのは、パルテナ親衛隊隊長、ピット。この世界で一番勇気と力を持つ彼だけだった。

とはいうものの、未知の世界へ臣民をたった1人で送り出す女神の心中は、決して穏やかではなかった。
内面から光り輝くような美しい顔は、私情を排し、厳かな表情を保っている。
しかし、隠しようのない心痛が、彼女の瞳を陰らせていた。

ゆっくりと、しかし着実に進んでいくエンジェランドの消失。生きとし生けるもの達の上げる嘆願の声。
そして、親衛隊としていつも側にいた天使を、送り出さねばならないことへの悲しみ。

そんな女神を安心させるために、ピットは微笑んでみせた。
いつも彼が女神に見せる、屈託のない笑顔で。

「僕にお任せ下さい。パルテナ様」

女神は、ようやく微笑みを返す。かげりこそあれ、それは確かに微笑みだった。

「もしも増援が必要な状況になったら……すぐここに戻ってきて言うのですよ」

それが慰めの言葉であることは、分かっていた。

地上、冥府からの避難民を天空界へと導くため、イカロスは全員かり出される。
そんな状況で増援を頼んだとして、イカロス達がすぐに来られるとは限らないだろう。
それほどまでに、地上界・冥府界に住まう人々は多いのだ。

それに、無理に増援を頼んでは、かえって救える人も救えなくなってしまう。
自分1人で何とかしてみせると、ピットは息巻いていた。

だが、"外"は広かった。

茫漠と横たわるモノトーンの大地。
緑帽の人形達には何度も出くわしたが、彼らの指揮官についての情報は杳として知れないまま。

特徴のない風景の中、気づけば自分が入ってきた入り口の方角すら分からなくなり、
ようやくデュオンと名乗る生ける戦車から彼らの主の名を聞き出せたのもつかの間、こうして熱に倒れてしまった。

これでは、自分と行動を共にしている人たち、そしてエンジェランドで彼の帰りを待つ者たちに申し訳が立たない。

閉じたまぶたの裏に、摩天楼を幻視する。
心優しい機械たちが見せた、幻の都市を。

住処を失い、逃げることに倦んだ人々が、足を引きずり歩いていく。
その姿はいつしか、見慣れた素朴な衣服をまとう、エンジェランドの人間達の姿に変わった。
向かっていく先も卵形のシェルターではなく、空に輝く天上界へと形を変える。

助けを求める人間達の後ろからは、じわじわと灰白の虚無が迫っていた。
弱った獲物を追い詰めるように、少しずつ、そして容赦なく。

追い打ちをかけるように、白い闇をくぐって人形達が現れた。
彼らは手に手に武器を持っている。その剣が、銃弾が、ひどくゆっくりと人間達に迫る。

人間達はイカロスに守られて、天上界へ昇ろうとする。
しかし、こちらの動きも次第に遅延していき、人々の必死の形相ばかりが目立っていた。

1人、また1人。
人間を守って、イカロス達が落ちていく。その中には、ピットが親しくしていた者の顔もあった。

手を伸ばすが、彼らには遠く届かない。
虚無のこちら側にいるピットには、助けるすべがないのだ。

灰色の闇が視界を徐々に狭め、仲間の名を呼ぶピットの声をかき消していく。
伸ばした手の力が徐々に失われ、感覚が消えていく。
エンジェランドの景色が遠ざかり、やがて彼の意識も、無彩色の世界に落ちていった。

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最終更新:2014-04-06

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